紅葉の季節が近付いてきました。まだ紅葉には早いが、再び庭園巡りを行なっている。
今回の訪問先はここ、金地院。南禅寺の塔頭の1つである。ここには特別名勝に指定された庭園が存在するのだ。拝観料は400円。
庭園を見る前に、金地院東照宮(重要文化財)を見る。そう、金地院には京都唯一の東照宮が存在するのだ。写真は「楼門」。東照宮に続く入口である。大振りな絵様挿肘木が興味深い。
少し進むと、透塀に囲まれた金地院東照宮の社殿が現れる。1628年建立。社殿は、黒漆塗りの拝殿と極彩色の本殿を石の間で繋ぐ権現造。本殿には徳川家康の遺髪と念持仏が納められている。
御成門から眺めた拝殿
開山堂。以心崇伝(金地院崇伝)を祀る。
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以心崇伝像(狩野探幽筆)
以心崇伝(1569年~1633年)は臨済宗の僧侶で、金地院中興の祖。徳川家康に仕え、江戸幕府の統治に非常に重要な役割を担い、黒衣の宰相と呼ばれたのは有名な話。金地院東照宮の存在は、家康と崇伝の親密な関係を物語るものと言えるだろう。
因みに、崇伝は本山・南禅寺の復興も大々的に手がけたので、南禅寺の中興の祖でもある。
さて、それでは庭園を見に行こう。庭園は写真の大方丈(大houjou、重要文化財)から眺める。時間はちょうど正午、天気はまさに秋晴、この庭園を見るのに最高の条件が整った。カメラの性能が悪くてその感じが伝わらないのが残念だが。
「金地院庭園(方丈houjou南庭)」、1632年
別名・鶴亀の庭。国の特別名勝に指定された枯山水の石庭で、小堀遠州の作である。小堀遠州の制作が明確に記録に残る庭はここが唯一であり、非常に貴重。また、完成年が確実に知られるのも珍しい。
この庭は雰囲気が非常に良い。広い面積の白砂の清浄な空間と、それを取り囲む深い木々。そして遠くには東山連峰も見える。まさに清浄さと雄大さを兼ね備えた庭園と言えるだろう。明るく温かい縁に座ってこの庭を眺めていると、心も清らかになる。
この庭園の奥には先程の東照宮があり、常緑の大刈込で隠されている。写真中央の低平な石は東照宮を拝むための遥拝石。そして、遥拝石の奥には蓬莱島を表す石組と織部灯篭があり、左右には亀島・鶴島がある。そう、この庭園もまた、神仙蓬莱思想を強く意識した構成となっているのだ。
手前の白砂の空間は大海を表しているとされるが、構成的にも、この空間に何も無いことによって、視線が蓬莱石組や大刈込に自然と向かうのだろう。
鶴島。非常に長い鶴首石(説によっては、くちばし石)を持ち、中心に三尊石を組み、赤松を背負う。
亀島。背負う木はビャクシンで、この庭園より古くから存在しているという。
金地院大houjou(本堂)。大houjouは縁が広く、高く、造りも精緻で素晴らしい。庭園の良し悪しは、それを眺める建物の質によっても左右されるだろうが、清浄で雄大な金地院庭園に見合うだけの建物であるのは間違いない。
因みに、この建物は伏見城の遺構とされ、寺伝でもそう記録されているが、最近は17世紀初期に新しく建てられたと考えられるようになった。ただし、伏見城から建物を譲り受けたのは事実のようで、その建物は崇伝没後に不要となったため、西賀茂の正伝寺に移築されたという。現在は正伝寺houjouとなっている。
正伝寺houjou。元・伏見城の遺構であり、金地院にも存在していた。重要文化財。
金地院大houjouの内部。狩野探幽、狩野尚信の襖絵を見ることが出来る。
金地院。南禅寺塔頭の1つながら、以心崇伝、小堀遠州、狩野探幽・尚信と、役者が揃っている。庭園も見事。文化財も、国宝の渓陰小築図など数多い(ほとんど非公開だが)。訪問する価値が高い寺院と言えよう。
終わり