私が会社に入って間もなくの頃、年の離れた目上の人からこう言われたことがあります:
「仕事をするときは頭を使え、頭が弱ければ体を使え、体が弱ければ気を遣え」
最初の2つは皆さんも分かると思います。頭脳と体力は仕事をする上での基盤です。
でも最後の「気遣い」はどうでしょうか。
自由を満喫して大学を卒業したばかりの私にはこの言葉は“封建主義”、“滅私奉公”といった悪い印象しかありませんでした。サラリーマン社会とは、なんと物が言えぬ不便な世界だろうと思ったものでした。極端に言うと、私はこのように受け止めたのです:
「自分に何ひとつ取り柄がないのなら、せめて上司が気分よく仕事しやすいようにゴマをすったり、お世辞を言ったりすること。それがお前の仕事だ」と。
でもこの歳になると、私は違ったとらえ方をするようになりました。サラリーマン社会で“滅私奉公”や“ゴマすり”が全くないとは言いませんが、本質はそこではなく、コミュニケーション能力の重要性を諭したものだと思うようになりました。
「気を遣う」ということは、上司との距離を縮めて仕事に対する考え方ややり方を探り出せ、ということです。特に新入社員の場合、与えられた仕事を最後には自分ひとりでできるようにならなければいけないので、上司とのコミュニケーション能力がまず求められることになります。
今世間で“悪者”になっている東京電力で、昔“中興の祖”と言われた木川田一隆氏(後に社長、会長、および経済同友会代表幹事に就任、故人)のことを、当時部下だった平岩外四氏(この人も社長、会長、および経済団体連合会会長に就任、故人)がこう述懐していたことを記憶しています(相当昔の記憶なので不正確なところがあると思いますが、ご容赦ください)。
毎週、平岩氏は木川田氏から仕事の進捗状況についてたびたび質問を受けました:
「アレはどうなった?」
「で、アレは?」
「それからアレは?」
「アレ」の連続にうまく答えられないと、罵声を浴びたとのこと。「アレ」だけで会話が成立しているので、第三者からみれば二人が何を会話しているのか、さっぱりわからなかったようです。
更に興味深いことに、回答内容が正しくても、回答の順番を間違えたらやはり叱られたということ。順番は仕事の優先順位を表しており、これを間違うと仕事を正しく理解していない、ということです。
現代ではこのようなやり取りはもう再現不可能(※)でしょうが、もしコミュニケーションのレベルがこの域まで達していれば、もう“達人”と言えるでしょう。また仕事の処理スピードは間違いなく速くなると思います。
※特に夫婦の会話をコレでやったら、即離婚になると思います。
(おまけ)
仕事ができない人はこの「コラム」を参照:
⇒ http://r25.yahoo.co.jp/spcate/wxr_detail/?id=20120126-00022603-r25