【主張】 米朝協議 前のめりの支援は禁物だ
2012.2.26 03:07 [主張]北朝鮮の金正恩体制発足後、初めてとなる米朝高官協議が北京で2日間、行
われた。米国のデービース北朝鮮担当特別代表が「画期的な進展には程遠い」
と説明したように、6カ国協議再開につながる合意は発表されなかった。予想さ
れた結果だ。
協議の内容も明らかにされなかったが、米国が要求するウラン濃縮活動の停
止と北朝鮮がもくろむ見返りの食糧支援の間で妥協が成立しなかったのだろう。
次回の日程も決まらなかった。
協議の最終目的は、核兵器の放棄こそが賢明な選択肢と北朝鮮に悟らせるこ
とだ。性急に進展を求める必要はない。
北朝鮮側代表の金桂寛第1外務次官がデービース氏と同様に「真摯(しんし)
な話し合いだった」と語ったことが「対話」継続の意思表示だとしても、金正恩体
制の指導部が簡単に妥協するとは考えにくい。
しかし、金正日総書記の死からわずか2カ月後に協議に応じた背景には北朝
鮮の切羽詰まった事情がある。深刻な食糧不足の中で、4月には金日成主席生
誕100周年という極めて重要な記念行事があり、特別配給のコメを確保しなけ
ればならないという。
食糧支援というカードを持っている日米韓が忘れてはならないのは、これまで
の米朝協議や6カ国協議がもたらした苦い教訓だ。
金日成主席の死後に「核開発凍結」をうたった米朝枠組み合意(1994年)で
は、見返りに軽水炉2基の建設や年間50万トンの重油提供が盛り込まれた。ま
た、ブッシュ前政権末期には、北のテロ支援国家指定も解除した。2003年に6
カ国協議が始まって以降、北は2度にわたって核実験を行っている。
前のめりの支援が北の核兵器開発を進行させ、独裁体制の延命を後押しした
側面は否定できない。日米韓は北の「核放棄」が立証されない限り、支援しない
との立場を今後も堅持すべきである。
今回の協議の中で、米側は北朝鮮による日本人拉致事件を提起した。北は横
田めぐみさんら拉致被害者の再調査を約束しておきながら、3年以上も何の回
答がない。こうした状況を打開するためにも、対話の中で拉致問題が取り上げら
れた意味はある。
日本政府はデービース氏から詳細を聞き、拉致問題でも日米連携で対北圧力
を強めるべきだ。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120226/kor12022603070000-n1.htm