【記者手帳】台風の進路を今になって見直す気象庁
韓国の気象庁は先月28日に台風15号(アジア名:ボラベン=ラオスの高原の名前)の進路を発表した。それによると、東経125.6度に沿って済州島沖の海上から中国大陸まで800キロ以上にわたり、一直線に北上したことになっている。
気象庁の発表によると、台風15号はソウルの西120キロの海上を通過した。しかし米国と日本の気象庁や世界気象機関(WMO)などは、気象庁の発表よりも90キロから120キロ西を通過したと発表した。この食い違いを受けて、民間の気象専門家の間からは「気象庁は台風の進路を改ざんしたのではないか」との指摘する声が出始めた。これに対し、気象庁はブリーフィングで、「予測する機関ごとに誤差が生じることはある。われわれは科学的な手順と判断に基づいて進路を調べた。改ざんなどあり得ない」と反論し、言論仲裁委員会に提訴する意向まで表明した。
ところが気象庁は今になって自分たちが発表した進路の見直しを行っている。気象庁の関係者は「気象庁が発表した進路の中に科学的に説明できない部分があるため、現在調べている」と明らかにした。さらに「当時発表した台風の進路は見直さざるを得ない」として、進路の修正が避けられないとの見方も示した。当初は「提訴する」などと大騒ぎしていたのに、わずか1週間で態度がガラリと変わったのだ。
気象庁の態度が突如変わったのには理由がある。まず北朝鮮の風向観測資料が気象庁の発表内容と異なっていた。気象庁によると、台風15号は先月28日午後4時ごろ甕津半島(黄海南道)に上陸し、午後9時ごろには平壌と南浦の中間地点に中心があったという。しかしこの時点で北朝鮮では東風が吹いていた。気象庁が発表した位置(北朝鮮の内陸)に台風の中心があったとすれば、科学的に見て東風が発生することは考えられない。
また風は台風の中心に向かって吹くため、気象庁の主張が正しければ、北朝鮮の内陸に向かって風が吹かねばならない。ところが先月28日午後、北朝鮮では風が大部分、西海(黄海)に向かって吹いていたことが分かっている。気象専門家らは「気象庁は『台風の目は北朝鮮を通過した』と主張しているが、北朝鮮での風向きは、気象庁の発表が誤っていたことを示している」と述べた。
台風15号の正式な進路については、今年の年末に世界気象機関(WMO)が主催する台風委員会で決まる。世界各国の気象専門家が集まるこの場で、気象庁が最初の主張を見直さない場合、韓国の科学技術のレベルは世界の笑いものになってしまうだろう。
朴恩鎬(パク・ウンホ)記者