社説:衆院解散・総選挙へ 危機
直視し針路を競え
毎日新聞 2012年11月17日 02時30分
衆議院が解散された。衆院選は12月4日公示、同16日の投票に向け各党による事実上の選挙戦が始まった。3年以上にわたる民主党政権の運営に審判が下る。
歴史的とも言える政権交代は結果的に政治の深刻な機能不全をもたらした。東日本大震災や福島原発事故を経て、日本を取り巻く内外の状況の厳しさはもはや「危機」と評しても過言ではない。
「郵政選挙」(05年)や「政権交代選挙」(09年)のような熱狂は今や不要ですらある。過激な議論や浮ついたムードを排し、各党が責任ある国の針路を競う時だ。
◇民主政権3年への審判
解散に先立ち、違憲状態の衆院「1票の格差」を是正するための「0増5減」の先行処理法が特例公債法とともに成立した。立法府がやっと最低限の責務を果たしたが、区割り作業は間に合わず、選挙は今の区割りで行われる。最高裁から選挙無効判決が下される可能性は否定できない。首相発言から2日でできた立法になぜ1年半以上要したのか。憲政史上に汚点を残した怠慢である。
解散後の記者会見で野田佳彦首相は「決められない政治の悪弊を断つための解散」と説明した。エネルギー政策などの争点化に意欲を示し、勝敗ラインは比較第1党とした。
各種世論調査で野田内閣や民主党の支持率が最低水準に落ち込む逆風下の解散だ。09年マニフェストに掲げた約束は財源破綻で総崩れ状態だ。政治主導は実現せず、内紛やお粗末な閣僚更迭を繰り返した。
議員の離党も止まらず、衆院で300を超していた与党は過半数割れした。解散間際に離党する無節操さにもあきれるが、確固たる党の理念がなかった証しだろう。国民の期待が高かった分、失望の強さを覚悟すべきだ。政権運営を真剣に総括し、責任ある公約を示さねばならない。
自民党は安倍晋三総裁の下、政権奪回を目指す。一昨年の参院選以来、ねじれ国会の下で特例公債法を国会攻防の人質に取り「決まらない政治」に加担するなど責任野党の存在感を示してきたとは言い難い。公共事業頼みなど「古い自民」の体質のままではないかとの疑念を払拭(ふっしょく)し、政権担当能力を示してほしい。
日本維新の会、太陽の党など新党勢が国政に進出し「第三極」を目指すなどとても多くの政党が候補を擁立するのも今回の特徴だ。新党が注目を浴びるのは既成政党への不信や2大政党の魅力不足の裏返しだ。
http://mainichi.jp/opinion/news/20121117k0000m070123000c.html