威嚇、ネガティブ宣伝…
中国が作り出す
“アジアの結束”
- 産経新聞
- 2013年09月13日09時36分
世界の目がブエノスアイレスの2020年「五輪の開催都市」決定に注がれていたさなかに、もう一つのドラマがキャンベラで進んでいた。
日本時間の7日午後10時過ぎ、オーストラリア下院選で保守連合(自由党、国民党)の圧勝が伝わったのだ。オーストラリアで6年ぶりに政権交代が実現する。
対中融和派の労働党政権から日米豪協調派である保守政権が誕生し、日本にとっては信頼すべきパートナーが南半球にできた。国際オリンピック委員会(IOC)総会の現地ブエノスアイレスにいた安倍晋三首相にも、選挙結果の一報が届いた。安倍首相はそれから数時間後、IOCのロゲ会長が候補地を告げる「トーキョー」の声を、心地よく聞いたことだろう。
安倍首相に近い外交評論家の岡崎久彦氏は「保守の豪州指導者が出現すれば、日本のアジア太平洋外交には、インドと豪州の2つの柱ができる」とみる。
新首相になるアボット氏は声明で、「国境の安全保障があり、経済の安保がある。国民は次期政権が強力で経済を繁栄させると期待していい」と、アベノミクス路線とよく似た目標を掲げた。昨年の北京訪問で、「法の支配と指導者を選ぶ自由を享受できれば、人々はもっと繁栄するはずだ」と直言しており、選挙期間中もギラード政権時代の国防白書を見直す方針を掲げている。
ウェブ誌「ザ・ディプロマット」でザカリー・ケック編集次長が、「日米比連携はメード・イン・チャイナ」という逆説を指摘していたことを思い出す。力による脅しが、むしろ脅された側を結束させるという比喩である。連携の輪は日米比だけでなく、これに豪も加わることになる。
領有権で中国と対立するベトナム、マレーシア、ブルネイにも協調が拡大している。シンガポールも米海軍の戦闘艦配備を容認し、インドネシアも「日米同盟はアジアの公共財」(ジュウォノ元国防相)と公言し、中国の拡張主義への警戒を緩めない。
領土変更は1949年に中華人民共和国が建国して以来、既存国境線に挑戦してインドと旧ソ連との間でも戦火を交えた。その大陸国家が海に出てくると、小刻みに支配海域を拡大していく。
この手で南シナ海のスカボロー礁を切り取られたフィリピンは、92年に米軍が撤退したスービック湾に海空軍基地を建設し、米軍に対して軍事作戦の拠点を提供する。日本はフィリピンに巡視艇を供与し、小野寺五典防衛相が6月末に海洋権益や離島防衛での協力に合意した。
安倍政権が集団的自衛権の解釈を変更して日米同盟を強化するのも、防衛費の増額もメード・イン・チャイナである。中国の脅しがなければ、解釈変更も増額もそう簡単ではない。尖閣諸島の国有化1年で、中国公船が領海侵犯し、無人機を飛ばして威嚇しても、免疫力をつけて消耗戦に勝ち抜くだけである。
中国が日本を「右傾化」と非難し、尖閣諸島を「盗んだ」とネガティブ宣伝をしても、日米離反も日ASEAN(東南アジア諸国連合)分断もさほど成功していない。彼らのいう世論戦で、「日本が第二次大戦後の国際秩序を破壊した」というコピーが荒唐無稽だからだ。ついでにいうと、20年東京五輪開催の決定もまた、揺るぎはなかった。(東京特派員・湯浅博)
韓国は中国側に付いたというのは皆知ってる。