人間らしく生きたい
生活保護減額 全国で審査請求
生活保護費を減額したのは不当だとして、東京都内の受給者四百九十四世帯が十七日午前、行政不服審査法に基づき、都に引き下げの取り消しを求める 審査請求を行った。
弁護士や受給者支援団体でつくる「生活保護基準引き下げに
NO! 全国争訴ネット」が呼び掛け、全国各地で受給者が
同時期に申し立て る。請求が却下された場合、
ネットは集団訴訟を行う方針だ。
都庁では都が用意した会議室に受給者や代理人ら約百七十人が詰め掛け、職員に審査請求の書類を手渡した。
生活保護費は、デフレで物価が下落したことなどを理由に、国が一月に引き下げを決定。八月から始まり、三年かけて段階的に予算額の6・5%の六百 七十億円を削減する。受給世帯の96%が一世帯当たり最大10%の引き下げとなり、下げ幅は過去最大。特に都市部の母子家庭などへの影響が大きい。
代理人として三十四人分の審査請求書類を提出した
山川幸生(ゆきお)弁護士は「もともとぎりぎりの生活しかできない
生活保護費から千円、二千円でも削ることの影響の大きさを
分かっていない。憲法にも生活保護法にも違反する」と話した。
◆家、光熱費で消え 女性「底辺の生活」賃
「ぎりぎりの生活。これ以上、どこを削れというのか」。生活保護費の削減は、憲法で認められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を脅かすとして、受給者から憤りの声が上がった。
十一カ月の孫を抱いて都庁職員に審査請求書類を手渡した足立区の渡辺敏恵さん(45)は、働いている次女と高校二年の四女、次女の長男の四人暮ら し。渡辺さんは病気の発作があって働くのが困難な上、保育所に入れなかった孫の世話をしなければならない。月額十万円の生活保護を受けてきたが、八月から 二万円削られた。
「底辺の生活をしている。生活保護費は光熱費や家賃で終わり次女の給料は日々の生活費に消える。貯金できず、エアコンが壊れても買えない。ふざけるなと言いたい」
荒川区で車いすの生活を送る高梨恒夫さん(68)は、二十五歳ごろから徐々に手足が動かなくなり、四十代で働くのを断念。蓄えが尽きた四年前から生活保護費を受給している。
切り詰めているが、この夏は猛暑でエアコンを使わざるを得なかった。電気代がかさんだところに減額。「削れるのは食費ぐらい」。週一回、介護ヘルパーが作り置きする五日分のおかずを毎日少しずつ残し、一週間を食いつなぐ。
これからさらに、消費税の値上げも待ち受ける。「食べたいだけ食べてみたい。減額には差別を感じる。決めた議員さんには一週間でいいから一緒に生活してみてほしい」
板橋区の平山玲一さん(76)は
「ほとんどの人は好きで受給しているわけではない」。印刷業を営んでいた三十年ほど前に過労で倒れ、うつ病になった。生活保護には頼りたくなくて無理して働いたが、医師に「ぼろきれになる」と説得された。
「減額は、肩身の狭い思いをしている受給者を、
さらに生き難い状況に追い込む。絶望せず人間らしく生きようとする気持ちをむしり取るやり方で、許せない」と話す。
荒川区で審査請求を取りまとめた市民団体「荒川生活と健康を守る会」の角(かど)光男会長は「審査請求を呼び掛けると、ほとんどの人が
参加した。それだけ困り、怒っている」と話した。 (柏崎智子)

