岩手県久慈市小袖地区と同様に「じぇじぇ」の方言が使われている対馬市峰町三根上里
人気のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で、ヒロインらが驚いた時に使う岩手県の方言「じぇじぇじぇ」。今や流行語となっているが、同県から
1200キロ以上離れた対馬市峰町三根地区の一部でも同様の方言がひっそりと使われている。島民に話を聞き、地域のつながりを探ってみた。
ドラマは岩手県久慈市小袖地区をモデルにした架空の「北三陸市」が主な舞台。地元のヒロインが海女やアイドルを目指す物語で、驚いた時に「じぇ」が飛び
出す。久慈市漁協小袖支所によると「この地区だけで使われる言葉」で、ドラマ同様に驚きの度合いが強いほど「じぇ」を繰り返す回数が増えるという。
「初めてドラマを見た瞬間は、まさに『じぇじぇー!?』っていう感じ」。三根地区で生まれ育った永留安生(ながどめやすお)さん(64)は振り返る。方
言は約450人が暮らす同地区の上里から下里地域にかけて使われ、「ごく一部の田舎言葉なので、昔はほかの集落からよくからかわれていた」という。
同地区に江戸時代から伝わる盆踊りを継承する永留堯吉(たかよし)さん(69)によると、小袖地区と同じく驚嘆を表現する言葉だが、「じぇ」を繰り返す
回数は最大2回まで。それ以上は「じぇじぇー」と語尾が長くなるという。また、親しい人への呼び掛けで「じぇー、おし(おい、おまえ)」という独特の使い
方もある。「対馬は本土と文化の往来が盛んだった。同じ言葉が東北にあっても不思議ではない」とみる。
歴史的に対馬から東北地方への人の流れはある。17世紀前半には、対馬藩が日朝関係を保つため徳川幕府と朝鮮国の国書を偽造した「柳川事件」が発覚。関
与した家老らが岩手県を含む東北各地へ流罪となった。県立対馬歴史民俗資料館元館長の大森公善さん(69)によると、事件後も藩主は家臣を心配し、東北と
交流していたという。
このほか、青森県を中心に東北地方には「対馬」の名字が多く、同県に近い久慈市にも数軒ある。漁業が盛んで海女がいたという共通点もある。
同じ方言が両地区で偶然生まれたのか、どちらからか伝わったのかは定かではない。ただ三根地区の場合、「若い人には全く通じない言葉で、失われつつあ
る。少し寂しい」と松村重儀さん(87)、八重子さん(83)夫妻。「ドラマをきっかけに地域の伝統のよさにも目が向けられれば」と願っている。
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2013/09/21085634011514.shtml