「ななつ星 in 九州」は食も豪華…意外なシェフのキャスティングにびっくり
2013.9.28 18:00 [江藤詩文の世界鉄道旅]
ななつ星で提供されるスイーツのイメージ。手前から時計回りに、熊本産利平栗とパッションフルーツのモンブラン、白桃のコンポート 完熟小梅のコンフィチュールと赤紫蘇のジュレ、イチゴのシュトーレン、豆乳とチコリコーヒーのプティ・ポ 黒豆添え
「ななつ星のスイーツをプロデュースするのは、下村浩司シェフ」7月のはじめにそう聞いて、ちょっと驚いた。
10月15日から運行を開始する予定のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」は、JR九州が「世界に向けて九州を発信するために」リリースする、世界で指折りの豪華寝台列車。
当然のことながら車中での食事も、選び抜いた食材を使った極上の料理が提供される。そのデザートやティータイムのスイーツを、東京・六本木に「エディション・コウジ シモムラ」を構える下村浩司オーナーシェフが担当するという。
下村シェフといったら、自分の城の細部まで目を配り、食前酒からプティフール(食後の小菓子)、コーヒー・紅茶まで、一連の流れを芸術的に作り上げる完璧 主義者。すべてに“下村イズム”を貫く人だ。そのシェフがデザートやスイーツだけ担当するとは。これはおもしろそう。7月12日に開かれた発表会に潜り込 んだ。
下村シェフを口説いたのは、パワフルで陽気なJR九州の唐池恒二社長。バターやクリームを極力使わず、砂糖の使用を控え、素材の持ち味をシンプルに引き出した下村シェフのデザートを、唐池社長は「ヘルシーなスイーツ」と表現する。
主な乗客と見込まれるのは50~60代の中高年層で、車内であまり身体を動かさずに食事を繰り返す。「それでも完食できて、お腹にもたれない軽やかさ。見た目も美しい。味に深みがあり、車窓を眺めながらゆったりと楽しむのが似合うスイーツだ」と、唐池社長。
下村シェフは「九州は食材が豊かな土地だということに、あらためて気づかされた」と言う。熊本県産のい草を使った「タタミトレイ」を用いるなど、プレゼンテーションでも楽しませる。
「実はね、初めての運行日には、ぼくも乗車してスイーツを作ろうかといろいろ調整しているんですよ」と、下村シェフ。すばらしい豪華列車でしょう、乗ってみたくて、と笑う。
あれれ、もしかしてプロデュースを引き受けたのは、予約が殺到している人気列車に乗車したかったから? 鉄道ファンあこがれのななつ星に、予約なしで乗れるなんて。うらやましいぞ、下村シェフ。
江藤詩文(えとう・しふみ)旅
のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感する
ラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。
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