フィギュア:ヨナ引退で真央の天下?
真央、ヨナの世界歴代最高点破る
浅田真央(23)が両手でVサインを見せた。78.66という点数を確認し、驚くと同時に満面の笑顔を浮かべ、勝利を意味するVサインを出したのだ。
浅田が27日、国際スケート連盟(ISU)フィギュアスケート世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)の女子ショートプログラム(SP)で出した78.66点は世界歴代最高点だった。
キム・ヨナ(23)=引退=が2010年のバンクーバー冬季五輪で出した従来の最高点78.50点を0.16点上回った。同年のバンクーバー五輪と世界選手権後、ISUは規定を変更してSPの技術課題を8要素から7要素に減らした。
スピンシークエンスがなくなり、課題の要素自体が少なくなったことで、以前よりも高い点数を出すのが難しくなった。キム・ヨナのバンクーバー五輪後の最高点は、先月のソチ冬季五輪で出した74.92だ。
■ソチ冬季五輪の雪辱果たした浅田真央
浅田はソチ五輪のSPで55.51点に終わり、16位になるという悪夢を見た。三つのジャンプ課題で得た点は合計7.08点に過ぎなかった。トリプルアクセル(3回転半)ジャンプの基礎点(8.50点)にも届いていない。何かにとりつかれたかのようにミスにミスを重ねたためだった。
SPが振るわなかったせいで、浅田はフリーで自己最高の142.71点(フリー3位)を出しても合計198.22点、最終的な順位は6位に終わった。バンクーバー五輪でキム・ヨナに負けて金メダルを逃し、銀メダルに終わった浅田。ソチで「悲願の金メダル」に再び挑んだが、手ぶらで帰国したのだった。
今回の世界選手権SPではショパンのノクターンをバックにこれまでで最高の演技を繰り広げた。世界選手権には8回出場しているが、SPで1位になったのも初めてだ。浅田は「点を期待していた。世界最高と聞くとうれしい。ソチの悔しさを晴らしたいと思ってやってきた。(この日の演技は)100点です」と言った。
日本のメディアは、29日に行われるフリーで浅田がソチ五輪時と同じレベルの演技ができれば、キム・ヨナがバンクーバー五輪で金メダルを取った時に出した歴代合計最高点(228.56点)を上回れると期待している。
■トリプルアクセルを諦めなかったから出せた最高点、ヨナの記録更新
浅田はバンクーバー五輪時、トリプルアクセルに3回(SP 1回・フリー2回)成功し、ギネスブック入りした。だが、自己最高(205.50点)を出してもキム・ヨナ(228.56点)に23点差を付けられて2位になった。トリプルアクセルは3回転半のジャンプで、ほかのジャンプは後ろ向きに跳んで後ろ向きに着氷するが、それよりも半周多く回るアクセルジャンプは前向きに跳んで後ろ向きに着氷する。
アクセルのうち最高難度のトリプルアクセル(基礎点8.50点)は3回転連続ジャンプと配点がほぼ同じだ。トリプルトウループ+トリプルトウループ(基礎点8.20点)よりは高く、キム・ヨナが得意とするトリプルルッツ+トリプルトウループ(基礎点10.10点)に比べても1.6点少ないだけだ。
トリプルアクセルは女子選手にとって失敗の危険性が高いため、試合ではほとんど見られない。だが、浅田は小学校6年生の時にトリプルアクセルに成功して「フィギュアの神童」と呼ばれ、その名をとどろかせた。これまでの女子選手で国際大会でトリプルアクセルに成功したのは浅田のほか伊藤みどり=日本=、トーニャ・ハーディング=米国=、リュドミラ・ネリディナ=ロシア=、中野友加里=日本=だけだ。
浅田は26日の試合でトリプルアクセルに成功した。基礎点8.50点に出来栄え点(GOE)が1.86点加点され、10.36点を得た。浅田は「3回転半と現時点で自分にしかできないジャンプを入れて、最高の演技ができた上での得点だった」と語った。浅田はトリプルアクセルに成功した回数よりも失敗した回数の方がはるかに多い。だが、それでも諦めなかった。時には無謀に思えるほど自分の特技を生かそうと踏ん張った。こうした闘魂がSP歴代最高点の原動力となった。
■ISU、高難度ジャンプを奨励する傾向へ
浅田はソチ五輪のフリーで意義深い挑戦をした。3回転ジャンプを八つ(コンビネーションジャンプを含む)、プログラムに取り入れたのだ。回転数不足と判定されたジャンプが二つ、ロングエッジ(wrong edge=ジャンプした瞬間、スケートの刃の向きが規定と違っているもの)が一つあったが、構成の難度自体は非常に高かった。フリーで行う12の課題の基礎点は66.34点で、金メダルを取ったロシアのアデリナ・ソトニコワ(61.43点)や銀メダルのキム・ヨナ(57.49点)を上回った。
ソトニコワはフリーで3回転ジャンプを7回試みて、全て成功した。トリプルアクセルを除く五つのトリプルジャンプ(ルッツ、フリップ、ループ、サルコウ、トウループ)を全て取り入れた。もちろん、ルッツで慢性的なロングエッジになるという問題を抱えていたが、ソチでは認められたため、ひいき判定をめぐる論争が巻き起こった。
キム・ヨナがフリーで跳んだ3回転ジャンプは6種類だった。キム・ヨナはバンクーバー五輪前からトリプルループを不得意にしており、四つのトリプルジャンプを組み合わせてプログラムを組んだ。
ソトニコワとキム・ヨナの判定をめぐる騒動の中、ISUが高難度の技を奨励する傾向は顕著になっている。男子シングルの場合、 バンクーバー五輪ではエバン・ライサチェク=米国=が4回転ジャンプを跳ばなくても金メダルを手にすることができた。しかし、最近では4回転ジャンプをせずにメダルを期待するのは難しい。
女子も同じだ。今、3回転連続ジャンプはジュニア選手でもこなしている。芸術性を問われるプログラム構成点は全体的に上昇傾向にある。したがって、女子選手が今後、競争力を付けるには、トリプルアクセルのような技を磨く必要がある。トリプルアクセルをこなす浅田が世界選手権後も現役を続行するのか、それとも引退を決意するのか、多くの関心が寄せられている。