李登輝元総統が涙「学生がかわいそうすぎる。政府は彼らの声聞け」=台湾
サーチナ 3月30日(日)12時31分配信
台湾で、馬英九総統が大陸と新たな経済協定の実現を強引に進めようとしたことがきっかけで本格化した反政権運動が、さらに緊迫した局面を迎えつつある。
李登輝元総統(91歳)は28日、関連する問題をテーマとする講演会に出演した際に、「学生らがかわいそうすぎる」と涙を流しつつ、学生らや民衆の声を聞
かない現政権を批判した。日本でも30日午後に台湾人のよる抗議デモが予定されるなど、運動は海外在住の台湾人の間でも広がりつつある。
■目立つ李登輝元総統と馬英九総統の「落差」
李登輝元総統は、総統代行だった1990年、改革を求めて多くの学生が抗議運動を行った際、運動が本格化しはじめたかなり早い時期に学生代表を総統府に招き対話を行い、民主化への具体的取り組みを盛り込んだ「共同認識」を発表した。
「認識」には、学生側が李元総統の約束を無条件に信じていたわけではないことを示す部分もあったが、李元総統はその後、各方面における民主化を断行し
た。李総統は大きな危険をおかしてまでも、強硬な保守派も存在する国民党を大きく動かし、民主化を断行した。台湾は中華系社会として初めて、本格的な民主
制度を獲得することになった。
李元総統は28日、「政府のトップは学生がなぜ、このような行動を起こしたか理解せねばならない。自らの措置にどんな過ちがあったか、反省せねばならな
い。反省しないようでは、政府とは言えない。庶民の声を聞いてこそ、正しい政府だ。国事会議を招集して(大陸との)サービス貿易協定の問題を討論すること
が好ましい」などと述べた。
■李元総統、国民に向き合おうとしない馬政権を厳しく批判
李元総統は、馬政権がサービス貿易協定について、国民に十分な情報を与えず、不明瞭な説明を繰り返しつつ実現を強行しようとしていることを厳しく批判した。
協定反対派の主張は「協定により台湾が中国経済に飲み込まれる。経済だけでなく、台湾社会そのものが危機的状況になる恐れがある」に要約できる。反対派
の中には、「協定は全く認められない」という強硬派から、「危険を防止するため、監視・監督のためのメカニズムを設けるべきだ」などと、同協定を台湾に
とって、より有利にすべきだとの具体的主張を示す人もいる。馬政権が、大陸側との合意内容をすべてそのまま通そうとしたことで、問題が大きくなった。
協定賛成派は、監視・監督のためのメカニズムについて「すでに盛り込んでいる」と主張。李元総統は「どこにある? どの条文だ? 説明して示してみよ。そのようなたわごとを言ってはならない」と、賛成派を厳しく批判した。
■李元総統が、台湾の「第2次民主改革」を主張
李元総統は、自らが手がけた台湾におけるこれまでの民主化を「第1次民主改革」と表現し、「第1次民主改革はすでに限界に達した。台湾にとって第2次民
主改革が、喫緊の課題」と主張。「第2次民主改革」の方向として、過度に集中している中央への権力の分散、台湾各地がすべて発展するメカニズムの構築、資
源の公平な分配、各地の民衆が同レベルの基本的福祉を受けられるようにすることなどを挙げ、「権力を民衆に返還せねばならない。政策が本当の意味で民衆の
願いにより決定されるようにせねばならない」と強く語った。
李元総統は、馬政権がサービス貿易協定の内容を人々に知らせないままで実現しようとしたことで、大きな問題になったと指摘。「(政権側が協定に自信があ
るなら)民衆に参加させ、話を聞き、協定について正しく理解するよう啓発に努め、民衆を協定について監督する立場に置くべきで、こんな圧政をすべきでな
い」と述べた。
自らが説く「第2次民主改革」については、「もし不明な部分があれば、李登輝基金に問い合わせていただきたい。詳細に説明します」と述べた。
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■「反馬英九」が海外の台湾人にも広く波及
サービス貿易協定については、立法院がいったん、事実上の撤回の判断を示したが、学生らの抗議運動は鎮静化するどころか、さらに拡大しつつある。馬英九
総統は25日になり立法院議場を占拠した学生らとの直接対話を望む姿勢を示したが、学生側が求めた「公開討論」を拒絶したなどで、実現していない。
台湾における「反馬(反馬英九)」の動きは、海外在住の台湾人にも広がりつつある。日本でも30日午後2時から、東京、京都、福岡で第2回目の抗議活動が実施される。すでに米国、フランス、英国、ロシアなどでも、抗議活動が実施されている。
米国紙・ニューヨークタイムズの国際アジア週末版にも、「サービス貿易協定反対」の意見広告が掲載された。
中国側は当然ながら「サービス貿易協定」の実現を目指しており、台湾人による反対運動を批判している。国際的に「サービス貿易協定反対」に対する注目が
高まれば、「中国当局と台湾人の考え方には大きなギャップがある。やはり別の社会だ」とのイメージが改めて強くなる可能性もある。
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◆解説◆
大陸とのサービス貿易協定については、多くの台湾人が内容をよく理解していないという側面もたしかにあり、「ばくぜんとした不安にかられての反対」とい
う場合があることは、否定できない。ただし、大陸側と台湾を「互いに対等な立場にある」ことを大前提として作成され、かつ経済交流について大胆な自由化を
盛り込んだ同協定が発効すれば、「小さな台湾が巨大な中国に飲み込まれる」危険が存在することは事実だ。
馬英九政権側は、サービス貿易協定と並び大きな政策課題とされる原発問題についても、2013年3月に「8月を目途に住民投票を行う」と表明しながら、
住民投票について言及しなくなり、批判がなおさら高まった。サービス貿易協定についても立法院(国会)で「条文ごとの審議を行う。(批准について)一括採
決はしない」などと言いながら、時間切れを理由として「採択」を宣言した。
一連の「強硬姿勢」により、抗議運動の対象は「個別の政策」から「政権そのもの」に変化していった。台湾では、馬英九総統の肖像に「チョビ髭を施し、ハーケンクロイツも添える」などで、ヒトラーになぞらえるイラストも、次々に発表されている。
ヒトラーは、民主的な制度のもとで合法的に選挙に勝利し、政権を獲得。しかし政権獲得後は極めて強引に独裁の度合いを高めて行った。馬総統をヒトラーにたとえる見方が強まっているのも、そのあたりが“共通”とする認識にもとづくと考えられる。
台湾には、中国共産党に対して根強い不信感・警戒感がある。「最初はきれいごとを並べて相手に取りいるが、自らに有利な状況になると前言をひるがえす。
最終目的の達成には手段を選ばない」といったものだ。教育の場で中国共産党に対する警戒心を過度にあおりたてた歴史もあるが、現在の中国当局の言動や訪台
した中国人の姿を見て、台湾の人々が「やはりそうだ」と思えてしまうことも多いという。
馬英九総統は、中国大陸との関係を改善することで台湾に恩恵をもたらす政策を続けてきた。台湾経済に利益をもたらしたことは事実だが、人々の間の根強い
「大陸への警戒心」を過小評価した面は否めない。また、李登輝、陳水扁と台湾では2代続いて本省人(日本の敗戦以前からの台湾住民とその子孫)政権が誕生
したのに対し、馬英九総統は外省人(香港生まれ。本籍は湖南省)だ。馬総統には、「大陸出身者が、大陸と親密な関係の構築に尽力する」ことで発生する、台
湾人の不信感や警戒心を解く努力も不足していたと言える。最近なっての強引な政局運営がきっかけで多くの人々が「これが馬英九政権の本質だ」と考え、不満
が一挙に噴出した
台湾では11月下旬に、主要7地区の首長を選ぶ統一地方選が、2016年には総統選挙がある。一方で、馬英九総統は2013年後半ごろから、支持率が
10%を切るという状態が続いている。そのため、馬総統(国民党主席)では選挙を戦えないという不満が、国民党内で噴出する可能性も否定できない。
しかし、国民党には「自党の代表が総統になれば、自動的に党主席(党首)になる」という党紀がある。さらに憲法の規定により、総統の罷免は極めて困難
だ。台湾における政治の混乱は、トップである馬総統が政局運営で“悪手”を繰り返したことで発生した面が強い。さらに、そのトップの交代は規則上難しく、
前例もない。混乱の出口はまったく見えてこない状態だ。(編集担当:如月隼人)
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最終更新:3月30日(日)13時25分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140330-00000019-scn-cnここ数年の馬英九の言動には
どこか危険な雰囲気が漂っていた。
学生を擁護する李登輝も
同じような思いなのだろう。