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BLOGOS 2014.5.12
▼英国人記者の著書に盛り込まれた「南京大虐殺」を否定する文章が、翻訳者が無断で加筆したものだったと共同通信が報道。しかし、著者が修正の必要はないとの声明を出し、日本報道検証機構のインタビューで同様の見解を述べた。
共同通信は5月8日、「ベストセラー翻訳者 南京事件 虐殺否定を無断加筆」との見出しで、祥伝社が出版した英国人記者の著書のうち、日本軍による「『南京大虐殺』はなかった」と主張した部分は、著者に無断で翻訳者が書き加えていたため、著者が修正を求めたと報じた。記事は翌日、毎日新聞や東京新聞をはじめ地方各紙にも掲載され、琉球新報は社説で「捏造」と批判。しかし、祥伝社は、無断加筆と報じられた部分と著者の見解は同じだとする「著者の見解」を発表した。著者はこれまでにも「『南京大虐殺』は中国のプロパガンダ」との主張をしたことがあるが、共同通信の報道は、著者と全く異なる見解を翻訳者が無断で加筆したかのような誤解を与える可能性がある。
問題となったのは、ヘンリー・ストークス氏の著書「英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄」(祥伝社新書)。同書によると、ストークス氏は英フィナンシャル・タイムズ初代東京支局長や米ニューヨーク・タイムズ東京支局長など歴任。共同通信は、ストークス氏がインタビューに応じ、この著書の第5章末尾にある「歴史の事実として『南京大虐殺』は、なかった。それは、中華民国政府が捏造したプロパガンダだった」という記述について、「後から付け加えられた。修正する必要がある」「(この文章は)私のものでない」などと指摘、インタビューに同席した翻訳者の藤田裕行氏も「誤解が生じたとすれば私の責任」などと述べたと報じた。
これに対し、祥伝社は9日午後、「共同通信の取材に基づく一連の記事は、著者の意見を反映しておらず、誤りです」などとするストークス氏の署名入りのコメント文書をホームページに掲載。その中で、ストークス氏は「著者の見解は、『いわゆる「南京大虐殺」はなかった。大虐殺という言葉は、起きた事を正しく表現していない。元々、それは中華民国政府のプロパガンダだった』というものです」(The author’s opinion is: so called “Nanking Massacre” never took place. The Word “Massacre” is not right to indicate what happened. It was originally a propaganda tool of the KMT government.)と述べ、「無断加筆」と報じられた箇所を修正する必要はないと言明した。
共同通信の第一報を掲載した毎日新聞や1面や社説でも取り上げた琉球新報は、「著者の見解」を伝えた共同通信の記事を掲載していない。

著者の見解
1.共同通信の取材に基づく一連の記事は、著者の意見を反映しておらず、誤りです。
2.「(南京)虐殺否定を無断加筆 ベストセラー翻訳者」との見出しも、事実ではありません。
3.著者と翻訳者の藤田裕行氏との間で、本の内容をめぐって意思の疎通を欠いていたとの報道がありますが、事実と著しく異なります。
4.共同通信は、1937年12月に南京で起きた事に関する第5章の最後の2行の日本語訳が著者の見解を反映していないと報じています。共同通信は、問題を針小棒大にしています。
著者の見解は、「いわゆる『南京大虐殺』はなかった。大虐殺という言葉は、起きた事を正しく表現していない。元々、それは中華民国政府のプロパガンダだった」というものです。
5.本書に記載されたことは、すべて著者の見解です。祥伝社と著者は、問題となっている2行の記述についても訂正する必要を認めません。
ヘンリー・スコット・ストークス(直筆の署名)
著者のヘンリー・ストークス氏(元ニューヨーク・タイムズ東京支局長)が5月14日、日本報道検証機構の単独インタビューに応じ、「著者の見解」に示されたのと同様、「南京大虐殺」は無かったとの見解を主張し、内容を事前に把握していなかったとの指摘を否定した。一方、翻訳者の藤田氏は、共同通信の記事が配信される前に、英文で記したストークス氏の見解を担当記者に送っていたが、記事に反映されなかったことを明らかにした。
ストークス氏のインタビューは英語で行われた。共同通信の報道で問題とされた文章のうち「歴史の事実として『南京大虐殺』はなかった」(as a histrical fact, “Nanking Massacre” had never occurred.)という部分について、ストークス氏は、英語で”a massacre”(日本語では通常「大虐殺」と訳される)と呼ばれるようなことは起きていなかったということだと説明。「『南京大虐殺』は中華民国政府に捏造されたプロパガンダだった」(”Nanking Massacre” was a propaganda created by KMT government.)という文章についても、「中華民国政府のプロパガンダだったことは確かだ」と語った。
また、ストークス氏は英文記事の「ストークス氏が重度のパーキンソン病に苦しんでいる」(Stokes, who suffers from advanced Parkinson’s disease and)という部分も、何をもって”advanced”と言っているのか「異常だ」(extraordinary)と指摘。ストークス氏によると、ここ数年パーキンソン病の治療を受けてきたが症状はよくなり、最近は薬ものまなくてよい状態まで改善してきているという。ストークス氏は現在も日本外国特派員協会のメンバーとしてインタビュー取材を受けるなど活動しており、今回の祥伝社版の著書の英語版出版に向け準備を進めている。