2014.10.3 11:00
【これが日本を守る装備だ】
「10式戦車」首相が乗った最新鋭戦車

「ニコニコ超会議2」で10式戦車に乗った安倍晋三首相=平成25年4月27日
安倍晋三首相が、迷彩服を着て戦車に乗った写真や映像をご記憶だろうか。
首相が平成25年4月27日、千葉市で開かれた動画サイト主催のイベント「ニコニコ超会議2」に参加したときのことだ。陸海空自衛隊と在日米陸軍のブースに立ち寄った際、首相は陸上自衛隊関係者に促され、戦車の上で右手を挙げて来場者の声援にこたえた。
首相が乗ったこの戦車が「10式戦車」で、陸自戦車としては4代目。日本企業約1000社が製造に参加する純国産の最新鋭戦車だ。24(2010)年に正式採用されたことから「10式」と命名され、「10」は「ひとまる」と読む。
最大の特徴は「頭脳」と「身軽さ」だ。
陸自戦車としては初めて、C4Iシステムを搭載した。これにより、他の戦車や普通科(歩兵)部隊と情報を共有し、瞬時に味方と敵の位置を識別して連携の取れた作戦行動が可能になる。
ちなみに「C4I」とは「指揮(Command)」「統制(Control)」「通信(Communication)」「Computer(コンピューター)」「情報(Intelligence)」の頭文字をとったもので、現代戦には欠かせない機能だ。
一方、10式戦車は前世代型の90式戦車と比べ、約9トンも軽い約44トン。90式戦車は長距離輸送の際には車体と砲台を切り離して別々のトレーラーで輸送しなければならないが、10式戦車はそのままの姿で運ぶことができる。戦車を民間の大型トレーラーで輸送すると、輸送コストが2分の1に低減できる。
旧ソ連による北海道侵攻を想定した冷戦時代と異なり、現在は中国による海洋進出や北朝鮮による核ミサイル攻撃が主要脅威となり、戦車の重要性は低下したと指摘する声もある。しかし、万が一に備えるのが自衛隊の役割だ。ロシア陸軍による極東地域での演習頻度は再び高まっており、高性能戦車を配備することにより抑止力を高める役割を担っている。
安倍首相が10式戦車に飛び乗ったのは、こうした戦車の重要性を踏まえ、自衛隊員の士気を鼓舞する意図もあったであろう。ところが、首相の行動を疑問視する声も一部にあった。
25年5月14日の参院予算委員会で、みどりの風の谷岡郁子代表(同年7月の参院選で落選)が、中国人や韓国人の知人から「日本は軍国主義の道を歩むんですか」と不安の声を寄せていることを紹介。「はっきり言ってこれはひんしゅく買っています」とかみついたのだ。
「最高指揮官としての首相にぜひ、これ(10式戦車)に乗ってもらいたいという要請を受けたわけでありまして、彼らが乗っている戦車がどういう状況かというのを私は知ってみる必要が当然ある」
首相はこう答弁し、谷岡氏の「間違ったメッセージではないか」との疑問を一蹴した。思想家の東浩紀氏も自身のツイッター上で「総理大臣は自衛隊の最高指揮官なんだから当然でしょう」と擁護するなど、谷岡氏の懸念は国内世論に広く共有されることはなかった。
「自衛隊は軍隊ではない」という建前のもと、「戦車」を「特車」と言い換えていたのは遠い過去の話だ。最近では女子高生が戦車を使った武道「戦車道」を学ぶストーリーのアニメ「ガールズ&パンツァー」が人気を集めている。軍事を忌み嫌う戦後日本の古い伝統は、最新鋭の10式戦車には似合わない。
(政治部 杉本康士)
http://www.sankei.com/premium/news/141003/prm1410030009-n1.html
http://www.sankei.com/premium/news/141003/prm1410030009-n2.html
http://www.sankei.com/premium/news/141003/prm1410030009-n3.html