【コラム】韓国人の怒りはトランプ氏より力が強い
2017年05月02日11時17分[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版] comment0
やはりトランプだった。「THAADの費用10億ドル(約1115億円)を出せ!」。先週末に届いた費用請求書に民心が仰天した。「今まで見たもの中で神器に近いものすごい装備」なのでタダではダメだというトランプの市場計算に、親米性向の投票者の心が揺れた。押し売り者のトランプが背水の陣まで敷いた。「韓米自由貿易協定(FTA)はひどい交渉だ。したがって再交渉でなければ終了する」と。論理や倫理といったものでは通じない。韓国がTHAADを求めて切に訴えたわけでもないのに費用を払うように求めるとは開いた口が塞がらない。
そういえば、小人王国のウサギのような大統領選候補があの自分勝手極まりない強大国の猛獣を相手にできるかどうか心配だ。世界政治を商売人論法で一気に変えたトランプ、とぼけているが腹に一物ある習近平、戦利品を自分のモノにするのに慣れている安倍、そしてことが思うままにならないと何をするか分からないプーチン。国際政治の友好的理性を全て放り投げた強大国の猛獣の間に大統領選候補のうち誰を置いても全く様にならない。
トランプの突発的な動きに対する大統領選候補の反応はもっと情けない。「国会の批准を得る必要がある」という有力候補の文在寅(ムン・ジェイン)候補の発言は責任回避そのものであり、「持って帰れ」という沈相ジョン(シム・サンジョン)候補の強気な一喝は対策のない発言だった。安哲秀(アン・チョルス)候補と劉承ミン(ユ・スンミン)候補は「お金を出すことはないだろう」と釘を刺したが、お金を出すかもしれないという気がした。一方、八つ当たりしている洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補は多少もっともらしく見えた。「『カール・ビンソン』船上でトランプに会って一括妥結する」と気炎を吐いた。どこで見たかのような政治英雄の演出を借りてきた。商売人を敵対する度胸が感じられた発言だったが、洪準杓候補があの猛獣の檻から生きて帰ってきそうな確信は得られなかった。小人王国の隊長選抜大会での大言壮語は、ハリス米太平洋司令官の一言より弱かった。「『カール・ビンソン』は2時間で北朝鮮を焦土化できる」。
中国から平手打ちを食らい米国にお金を出さなければならない呆れ返る状況をどこかに訴えることもできず、一人でつぶやいているのが大統領選政局の討論会だ。それでも各陣営は、投票者の動向に神経を尖らせている。トランプの破廉恥な費用請求書がTHAAD必須論を主張してきた保守候補の支持層を当惑させている。鉄桶のように堅固な安保にはお金を出すほかはないという受け入れ派や、どうせなら得失を計算してみようじゃないかという実利派、プライドを傷つけられた憤怒派に分かれる可能性が大きくなっている。実利派と憤怒派が保守陣営を離れるなら、最大の受恵を受ける人はTHAAD再交渉を主張してきた文在寅候補、その次は条件付き受け入れを主張してきた安哲秀候補だ。突然吹き付けたトランプ台風がTHAAD原則的反対論者である文在寅候補の立場を強めたのは今回の大統領選の最大のアイロニーとして記憶に残るだろう。
大統領選までちょうど一週間、「トランプ台風」が保守投票者の心をかく乱し、平壌(ピョンヤン)のミサイル脅威に60~70代の安保に対する熱病がぶり返しても、現在の大統領選構図は一気に変わりそうにない。安哲秀候補が「洪候補を選べば文候補が当選する」といくら叫んでも、「天然」のイメージに票が集まりそうでもなく、「策略家」の文在寅候補が適当に言葉を濁しても「怒りの票」が彼を離れそうでもないためだ。19代大統領選の雷管は安保ではなく憤っている国民、すなわち「怒った民心」だ。怒りが根底にある。ニ極化、挫折、あきらめた社会に対する怒り。文在寅候補がいくら曖昧に話しても彼が怒りを代弁してくれると信じている観念がすでに堅固に形成されている。10年間の保守政権に対する失望感、それが大統領選構図の下絵であるため、仕方がない。
この下絵を変える時間的余裕がない「バタバタ大統領選」で政策公約を注視する有権者もそんなに多くない。政治学者は口をそろえて時間が多くても有権者は政策公約に左右されないと話している。公約でなく候補のイメージだ。自身の欲望をかなえてくれそうな自分予言的象徴を最も多く持っている人に票を投じる。米国と英国ですら公約のために支持してきた候補を変えた割合は10%にもならず、特定政策が進歩か保守かを見分ける人も少数に過ぎない。韓国の場合、5人の候補が出した政策の内容をいちいち考えて投票する人がどれほどいるだろうか。例えば「基礎年金を全員に30万ウォン(約2万9600円)」と「下位80%に30万ウォン」が投票者の心をつかむうえでどのような違いがあるのだろうか。「ろうそくの怒り」と「太極旗の怒り」を誰がうまく代弁するか、これが19代大統領選の最大の争点だ。政策でなく人物に対する期待とイメージだ。これにTHAADに象徴される安保に対する熱病が少し加勢しているだけだ。怒りは「トランプ台風」よりも力が強い。
ところで、このような票に支えられて出現する政権は果たして「すべての国民」の熱望に応える「責任政府」だろうか。民主主義の理論は「イエス」と答えるだろうが、現実は理論を裏切る。歴代最多得票の朴槿恵(パク・クネ)政権がそうだった。今回は歴代最小得票の当選者だ。さらに、国運がかかった重大な懸案を左右する実力者は候補の後ろに匿名で隠れている。彼らが誰かも分からないまま、一週間後には投票所に列を作ることになるだろう。誰が当選しようが、責任政府とは程遠い。
ソン・ホグン/中央日報コラムニスト・ソウル大学教授
朝鮮戦争でどれだけの米兵が死んだと思ってるんだ。
その後、どれだけのアメリカの税金を使ってきたと思ってるんだ。
あの時米軍の支援が無かったら赤化統一で北朝鮮のようになっていたんだぞ。
何が「怒り」だ。
北朝鮮が潰れ、
アメリカと中国が仲良くなれば韓国に基地を置く理由など無くなるわ。