PM2.5対策、無駄遣いに終わった公共交通無料化
ソウル市内で15日、大気汚染の原因となる微小粒子状物質「PM2.5」が高濃度になるとの見通しが前日に発表されたことを受け、ソウル市は通勤時間帯の全てのバスと地下鉄を無料とした。ところがこの日、午前中のPM2.5濃度は通常のレベルにとどまっていた。「明日雨が降るので全ての市民に無料で傘を配布したが、実際は晴れた」のと全く同じだ。PM2.5の発生にはさまざまな要因が複雑に絡み合うため、正確に予測するのは非常に難しいが、その不確実な予測に基づいてソウル市は公共交通機関を全て無料にしたのだ。もちろん正確に言えば無料ではなく、市民の税金から50億ウォン(約5億2000万円)が使われた。昨年ソウル地下鉄の損失額が3900億ウォン(約410億円)を上回ったにもかかわらずだ。
ソウル市が1年にバスや地下鉄などの公共交通機関を10回無料で運行すれば、500億ウォン(約52億円)の予算が必要になる。一方で50億ウォンあれば老朽化したトラック1000台に排ガス低減装置を設置することが可能だ。フランスのパリも今回のソウルと同じような政策を行っていたが、昨年以降は取りやめている。しかも50億ウォンもの税金を使ったにもかかわらず、昨日のソウル市内における車の速度は普段とほとんど変わらず、交通量はわずか1.8%の減少にとどまった。ソウル市が何をやっても車を運転するドライバーは運転するため、大気汚染を和らげる効果はおそらくほぼなかっただろう。効果があったとすれば、6月に控えた統一地方選挙に向け朴元淳(パク・ウォンスン)市長の選挙運動が多少有利になったことくらいだ。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で韓国は大気の質が最も悪いが、大気汚染問題を短期間で解決できる妙案はない。とりわけ中国から飛来するPM2.5は現時点ではどうしようもない。しかしわれわれにできることは全てやらねばならない。ただ何をするにしても必ず資金が必要になる。ところが昨日のソウル市のように平気で税金を無駄使いしているようでは、いざというときに本当にやるべき対策ができなくなってしまう