記事入力 : 2018/01/29 10:10
【社説】災害・事故の政治利用、セウォル号がもたらした悲喜劇
慶尚南道密陽市の世宗病院火災を受け、保守系野党・自由韓国党は「文在寅(ムン・ジェイン)政権が政治報復にうつつを抜かし、また北朝鮮から玄松月(ヒョン・ソンウォル)が来たことで国民の生命を守れなかった。文大統領は謝罪し大統領府スタッフと内閣は総辞職すべきだ」と主張した。
これに対して与党・共に民主党は「2009年に民主党(当時)議員が国会に提出した火災防止関連の法案がハンナラ党(当時)の反対で廃案になった。これが火災を大きくした」
「密陽市の火災現場に慶尚南道知事がいないのは、(自由韓国党の)洪準杓(ホン・ジュンピョ)代表が大統領選挙に出馬した際、後任の知事を決められなくするけちで汚い手口を使ったからだ」と反論した。
自由韓国党の主張通り、もし事件や事故が発生するたびに内閣が総辞職すれば、世界のどの国の政府も1年ともたないだろう。
また与党の言うように災害の原因を前政権や野党の責任と主張すれば、景福宮が崩壊したら大院君の墓の前で責任を追及しなければならない。
ここ数日、与野党の政治家たちが火災後の対応に大忙しの現場を相次いで訪れ、原因究明や対策の樹立などとは関係のない互いに対する批判ばかり続けている。これでは密陽市民たちが「火災現場に政治をやりに来たのか」などと怒りをあらわにするのも当然のことだ。
4年前に旅客船「セウォル号」が沈没した当時、野党だった今の与党はセウォル号沈没を「大統領と政府の責任」などと主張する非常に無責任な政治攻勢に力を入れた。
憲法裁判所が朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領の罷免を宣告した昨年3月10日には、当時の文在寅・大統領候補が沈没現場から近い全羅南道珍島の彭木港を訪れ、焼香所の芳名録に「申し訳なく、ありがたい」と書き込んだ。
これもセウォル号沈没によって弾劾が実現し、自らが大統領になれると考えたからだろう。
文在寅政権とその関係者によるこのような姿勢が事故や災害の政治問題化という流れをつくったが、いざ政権を握ると今度は自分たちがそれに苦しめられているのだ。
文在寅政権は国が安全保障上の危機に直面したときに稼働すべき国家危機管理センターについて、釣り船が転覆したときも、また大規模火災が発生したときも招集が後手に回り実質的な対応は何もできなかった。
一方の野党は復讐(ふくしゅう)でもするかのように事故を大統領への非難に利用している。
そのような中で事故防止策や災害への対応、国民の安全意識などはどれも全く改善できていない。
国民は喜劇でも悲劇でもない政治ショーをいつまで見せつけられねばならないのか。