【平昌五輪】
「平和五輪」VS「平壌五輪」 「国民の気持ち平昌で一つに」との思惑外れ
文氏支持の若者も分裂
韓国の文在寅大統領(ロイター)
【ソウル=桜井紀雄】韓国の朴槿恵(パククネ)前政権時代の国政介入事件で保革に二分した国民の気持ちを「平昌五輪で一つに」-。これが文在寅(ムンジェイン)大統領の願いだった。だが、開幕直前の北朝鮮の参加決定をめぐって国論が分裂。反発する世論を抱えたまま、主催国、韓国は9日の開幕を迎える。
「平和五輪のためによいことだと考えていたが、選手たちの立場を前もって十分に推し量れなかった」
文氏は1月30日、閣僚らとの会議でこう吐露した。アイスホッケー女子で南北合同チーム結成を性急に進めたことで、若者を中心に「韓国選手の出場機会を奪うものだ」と強い反発が起きたことを受けた言葉だ。
1月24日、インターネット上に奇妙な現象が現れた。「平和五輪」という用語が人気検索語1位に急浮上した。文氏の支持者らがこの日、誕生日を迎えた文氏に「プレゼントしよう」と文氏のモットーである「平和五輪」を検索するよう呼びかけた結果だった。
だが、1位は即座に「平壌五輪」に取って代わられる。五輪が北朝鮮の話題一色になった状況に反発、「五輪は北に乗っ取られ平壌五輪同然だ」と主張する反対派が攻勢を仕掛けたのだ。1位は目まぐるしく入れ替わり「平昌」という言葉は蚊帳の外に置かれた。
20、30代の韓国人が金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の写真や北朝鮮国旗を燃やし、ネット上にその動画を掲載する動きも相次いでいる。北朝鮮の視察団が訪韓した際、反対派団体がソウル駅で金委員長の写真を燃やすデモを行うと、北朝鮮が激しく非難。動画掲載は韓国警察が団体への捜査に着手したことへの抗議だった。
大学生団体の一つは「開会式で韓国国旗を掲げよう」と呼びかけている。南北合同入場行進で国旗ではなく、朝鮮半島を描いた統一旗を掲げるとの文政権の決定に対する反発だ。
昨年の大統領選で文氏を熱烈に支持したはずの若者層が合同チームや統一旗に拒否感を示していることに、与党幹部は「保守政権の10年間、まともな統一教育を受けられなかったからだ」と発言し、若者らの感情を逆なでした。
研究機関の調査で南北統一に賛成する20代は約2割にすぎない。大統領選で文氏を支持したソウルの20代女性は「統一は経済的負担も大きく、われわれの代での統一は勘弁してほしい。文氏への支持と北朝鮮問題は全く別だ」と話した。