大韓航空・趙顕ミン(チョ・ヒョンミン)専務が会議中に激怒して広告代理店社員にコップの水をかけたというパワーハラスメント(パワハラ)疑惑が、趙顕ミン専務の系列航空会社登記役員資格に対する国土交通部(省に相当)調査や、経営者一族の免税品密輸関連税関調査などへと拡大、大韓航空がまさに「四面楚歌(そか)」の状態に陥っている。同社社員ら約500人は「経営者一族を追い出すという最終目標を達成するため、知っている不正をすべて共有しよう」として、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のチャットルームまで作るなど、内部から反発の声が上がっている。
警察は19日、ソウル市江西区の大韓航空本社を家宅捜索し、趙顕ミン専務の個人用・業務用携帯電話2台、会議に出席した役員の携帯電話、パソコンなどを押収・分析している。 「水かけパワハラ」が報道されてすぐ捜査に着手した警察は「国民の関心が高い事案であり、捜査に必要な証拠が毀損(きそん)・削除される恐れもあるため、捜査を急いでいる」と述べた。警察は近く、被疑者として趙顕ミン専務に出頭を求め、聴取する方針だ。「趙顕ミン専務が人に向かってコップを投げていたなら特殊暴行容疑が適用可能だ」というのが法曹関係者の見方だ。
国土交通部も米国国籍の趙顕ミン専務が2010年3月から16年3月までの6年間、大韓航空系列の格安航空会社(LCC)ジンエアーの登記役員を務めたことについて調査を進めている。外国人は国内航空会社の登記役員になることができない。これに違反すれば免許取り消しの可能性もある。同部は「法律的に諮問した結果、趙顕ミン専務は既に辞任し、航空会社免許を取り消せないという回答を受けた」と明らかにした。6年間こうした事実を黙認または傍観した同部に対し、「管理・監督が不十分だ」という批判も高まっている。大統領府公式サイトには「大韓航空の名称から『大韓』を外すべきだ」という意見など、この1週間で新たに400件を上回る請願が寄せられている
しかも、大韓航空経営者一族がキャベツ・サクランボから高価なドレス・家具まで税関に申告しないまま密輸しただけでなく、密輸の際に同社航空機や職員を私的に利用したという疑惑も取りざたされている。「経営者一族の物品を持ち込むための専門チームがある」「仁川(空港)に到着する特定の飛行機は経営者一族の個人輸入用輸送機」という元機長や現職機長、乗務員らの証言があるが、大韓航空側は「かなりの部分が誇張または虚偽だ」と主張している。関税庁は事実関係確認のため趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長一族の最近5年間のクレジットカード使用履歴調査に乗り出した。こうした疑惑が事実であれば、背任や脱税などの疑いで刑事処罰される可能性も排除できなくなる。
趙顕ミン専務のパワハラ疑惑報道以降、非難の声は日に日に高まっているが、大韓航空は「現在、警察の捜査などが行われているため、結果を受けてから対応策などを打ち出す」として1週間以上、正式な謝罪や根絶対策などを発表しておらず、さらに事態を悪化させている。
業界関係者は「2014年に趙顕娥(チョ・ヒョナ)大韓航空副社長=現・KALホテルネットワーク社長=の『ナッツ・リターン事件』が発生した時も安易な対応で事態を悪化させたが、今も何も変わってもいない」と話す。趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長はこの時、かなり後になって「子どもの教育を誤って申し訳ない」と謝罪したが、趙顕娥氏は逮捕された。ある大企業の役員は「趙顕ミン専務は今回の疑惑が初めて報道された時、電子メールでのみ謝罪し、大韓航空は待機措置を取っただけだった。その時すぐに『すべての会社経営から退く』ときちんと謝罪し、徹底的な対策を立てていれば、今のような事態にはなっていなかった」と話す。また、一部では「今回の問題は趙顕娥氏を無理に復帰させようとして問題になったのでは」という声もある。
今回の「水かけ姫」パワハラ疑惑が広がっている中で大韓航空の株価は7.1%下がり、時価総額2400億ウォン(約240億円)が消えた。財界関係者らは「この大韓航空の問題で反企業的な情緒がさらに強まるのではないか」と懸念している様子だ。