浦項地震を誘発した地熱発電所
危うく地震予言記事を書くところだった。浦項地震の2日前に当たる昨年11月13日、高麗大地球環境科学科の李晋漢(イ・ジンハン)教授から「浦項地熱発電所が地震を起こす可能性がある」という話を聞き、はっとした。李教授が送ってきたサイエンスの論文(2015年6月)を見ると、米国でシェールガス採掘が増えるにつれ、試掘井と関連が疑われる地震が1970年代の年7件から2014年には650件に増えた。地下に高圧で水を注入したことが原因だった。
11月15日午前に論文を読み終え、数日後に出稿予定のコラムで扱おうと決めた。その3時間後、携帯電話に気象庁の緊急災害速報が飛び込んできた。約10秒後に李教授が。「大変だ」と電話をかけてきた。本当に浦項で地震が起きたのだった。ただ、地熱発電所が浦項地震を誘発したかどうかは現在も論争が続いている。
李教授の論文がサイエンスの電子版に掲載された。浦項地震が地熱発電所による誘発地震である可能性は「かなり可能性がある(probably)」から「ほぼ確実(almost certain)」の間だという。スイスのチューリッヒ工科大の研究陣が人工衛星分析を通じ、「浦項地震は誘発地震とみられる(plausible)」とする論文を同時に掲載した。
サイエンスに投稿される論文の80%以上は、審査も受けられないまま、編集委員に却下される。李教授の論文は専門家の審査委員による評価で「若干の修正(minor revision)」を経てパスしたという。サイエンスに掲載された論文は厳しい検証を経たという意味だ。これまでは地熱発電所による最後の水注入から2カ月が経過した時点で地震が起きたことから、誘発地震と見るのは難しいとの見解が優勢だった印象だ。
浦項のマグニチュード5.4の地震は、広島型原爆のエネルギーの13%程度だという。地熱発電所から1万2000立方メートルの水を注入しただけなのに、浦項全域が揺れる地震が起きたとすれば驚くべきことだ。李教授は地殻のプレートとプレートの間に応力(ストレス)がたまり、耐えられなくなる臨界点に到達していた時点で、注入された水が一種の潤滑油の役割を果たし、プレートがずれたと説明する。しかし、誘発地震説が完全に立証されたとは言い難い。さらに研究が必要だ。現在必要なことは、地熱発電所が蓄積してきたデータを専門家が共有することだ。さもないと、地震予防にはつながらない。