2018.10.10 06:30更新
【関西の議論】
実は間違い、横断歩道「手を上げて」
日本テレビ「笑点」大喜利 の収録風景。(左から)司会の三波伸介、桂歌丸、林家木久蔵(林家木久扇)、三遊亭圓窓(六代目)、三遊亭圓楽(五代目)、林家こん平、三遊亭小圓遊(四代目)、後ろは西〆子(左)と松崎真 =昭和50年、後楽園ホール横断歩道は手を上げて渡りましょう-。子供の頃、こう教えられなかった人はいるだろうか。しかし、国家公安委員会が交通ルールを定めた教則では、なんと40年前から「手を上げて渡りましょう」という記載は消えていた。手を上げればどんな状況でも渡れると誤解される、タクシーが止まってしまう…。さまざまな説が飛び交うが、真偽は不明。ただ、教則から消えたものの手で横断の意志を示すのは事故防止に効果的で、大阪府警は9月から問題点を改善した新たな「ハンドサイン」を提唱。浸透を狙ってアピールしている。(佐藤祐介)

40年前に削除
「歩道の縁や道路の端に立ち止まって、右左をよく見て、車が近づいて来ないかどうか確かめましよう」
国家公安委員会が定めた「交通の方法に関する教則」。横断歩道を渡る際の歩行者の注意点として、この記載がある一方で、「手を上げて渡りましょう」といった趣旨の記載はない。
実は40年前の昭和53(1978)年に教則が改正されるまで、「車がくる道路を横断するときは、手をあげて合図をし、車が止まったのを確かめてから渡りましょう」と書かれていた。改正で文言が消えていたのだ。
なぜか。大阪府警の担当者は「理由ははっきりしない」と答えるが、さまざまな要因が推測されている。
手を上げていればどんな道路状況でも渡ることができると誤解される▽手を上げることで身体のバランスを崩してしまう▽タクシーが間違えて止まってしまう-などが挙げられる。しかし、記録が残っておらず本当のところは分からない。
いずれにせよ、教則から消えたこともあってか、現在は「手上げ横断」の指導は行われていないケースが多い。
大阪府道路環境課によると、児童らに「右左をよく確認して渡りましょう」と教えているが、「手を上げましょう」という指導はこれまで行ってきた記録が確認できないという。担当者は「手を上げるより、やはり自分の目で左右の安全を確認することが一番大事」と説明する。
浸透の理由は「笑点」?
いつの間にか消えた手上げ横断。確かに左右の安全確認のほうがより重要だが、そもそも手を上げて横断するというのは風潮はどのようにして定着したのか。
全国の交通安全教室は、昭和30年代後半から40年代にかけて始まった。当時は毎年全国の死者数が年間で1万人を超える「第1次交通戦争」。子供の交通死亡事故も急増したことから、教育現場で交通ルールを徹底することとなった。
その中で、重点推進事項として、「歩行者と車の運転者の間で手で合図をし合うこと」が掲げられ、「手を上げて(ドライバーに合図しながら)横断歩道を渡りましょう」との指導につながった。
また、昭和40年代後半には、人気お笑い番組「笑点」で、座布団を運んでいた俳優、松崎真さん(故人)があいさつで「手を上げて、横断歩道を渡りましょう」と手を高く上げていた。これが流行したことも影響しているとみられる。
教則から消えたものの、手を上げる行為は事故防止に効果がある。小さな子供の視認性を向上させるのだ。
国土交通省によると、乗用車は、前方2メートル先にある高さ1メートルの円柱(6歳児を模したもの)を、鏡などを用いず直接目視できることが、視界を確保する基準とされている。
つまり、2メートルより手前に小さな子供がいても気付かない可能性が高く、高く手を上げることで、見落とされる危険性を取り除くことができるということだ。
また、大人になって手を上げて横断歩道を渡る人はあまり見かけないが、ドライバーに分かりやすく渡る意志をアピールするのは年齢に関係なく重要だ。
新たな手上げスタイル
教則から消えた要因として推測されるデメリットをなくし、ドライバーに正しく合図を送るにはどうするべきか。
大阪府警では9月、新たな手を上げるスタイルを取り入れた「ハンドサイン運動」を始めた。
新たに推奨する方法は、歩行者は手を高くあげるのではなく、ドライバーの視野に入る程度に手を軽く前に出して横断する意志を示すというもの。
ドライバーにも、歩行者のサインを確認したら片手を前に差し出し、「どうぞ」のポーズで応答することを勧めている。
これまでの手上げ横断は、手を高くあげること自体が強調されてしまっていたが、「ハンドサイン」は相手が自分のアピールを見ているか確認することを重視。ドライバーにもポーズを求めることで、双方のコミュニケーションを高め、「止まると思った」との誤解を防止する狙いがある。
9月18日には大阪府枚方(ひらかた)市内の横断歩道でキックオフイベントも開催。府警や地元ボランティアら約20人が、ハンドサインの方法が書かれたチラシを歩行者やドライバーに配って新たな横断方法を周知した。府警交通部の担当者は「手上げ横断に並ぶほどに広く浸透し、一般化されていくことを期待したい」と語った。

http://www.sankei.com/west/news/181010/wst1810100004-n1.html
================================================================
( ´-д-)