韓経:韓国、水素自動車を先に量産しても日本に追いつかれるのか
2018年10月16日08時53分[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版] comment75
「水素ステーションがパリ市内の真ん中にあるが、市民が不安に思わないですか」(文在寅大統領)。
「設立されて3年過ぎたがどのような不満も提起されたことがありません。事故もまったく起きていません」(エアーリキッドのブノワ・ポチエ会長)
フランスを国賓訪問中の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が14日にパリのアルマ広場近くの水素ステーションに立ち寄って交わした対話だ。現代(ヒョンデ)自動車の次世代水素電気自動車(FCEV)「NEXO(ネクソ)」に乗って道路上を走った直後だった。文大統領が「ドライバーが充填を直接するのか」と尋ねると、世界最大の水素ステーション構築企業を率いるポチエ会長は「ドライバーが自分で充填する」と答えた。
◇ステーション用地確保も厳しい韓国
文大統領はポチエ会長の話を聞くと、そばにいた現地の水素自動車タクシー(ツーソンix)のドライバーに「セルフ充填」を見せてほしいと頼んだ。そしてじっと充填する様子を見守った。文大統領は充填試演を見た後、「現代自動車の水素自動車は世界的にリードする車だ。韓国政府も水素ステーション構築など水素経済生態系拡散に向け努力したい」と話した。
文大統領がパリで見守った水素自動車の「セルフ充填」は韓国でも可能だろうか。結論から言えば韓国では「違法」だ。複雑で厳しい規制のためだ。韓国では「高圧ガス安全管理法」に基づき、水素ステーションに雇用された従業員だけが直接充填できる。欧州や米国は一定時間の安全教育を受けたドライバーはだれでも充填できるようにしている。
これだけでない。韓国の水素ステーション設置基準も欧州や米国より厳格だ。用地確保から容易ではない。「教育環境保護に関する法律」などによると、幼稚園と大学など学校の敷地から200メートル以内の地域では水素ステーションの設置が制限される。専用住居地域と商業地域、自然環境保全地域などではステーションの建設自体が不可能だ。
海外は異なる状況だ。水素ステーション関連規制を果敢に取りはらい都心部でも簡単に作ることができる。日本の東京都心部にあるイワタニ水素ステーション芝公園が代表的事例だ。国会議事堂や政府庁舎に近いところにある。文大統領が訪問したパリの水素ステーションもやはりエッフェル塔が見えるアルマ広場と近い。
水素ステーションにだけ厳格に適用される安全管理責任者資格を緩和しなければならないという声も多い。液化石油ガス(LPG)や圧縮天然ガス(CNG)ステーションの場合、一定の教育だけ受ければ良いが、水素ステーションはガス技能士の資格を持つ人だけ運営できる。
◇先に量産しても日本に追いつかれるのか…
水素自動車を大衆化するには大きく不足している水素ステーションを大幅に増やさなければならないと指摘される。韓国の水素ステーションはソウル、蔚山(ウルサン)、光州(クァンジュ)などの15カ所にすぎない。その上6カ所は研究用のため一般人が利用できるのは9カ所にとどまる。韓国政府は2022年までに水素自動車を1万5000台普及させ、水素ステーションを310カ所に増やすという計画を立てたが、自動車業界では実現の可能性は低いとみている。水素ステーション1カ所を建設するのに30億ウォンが必要だが、これもやはり政府支援(50%)予算が不足しているためだ。
水素自動車需要に追いつかない補助金も水素自動車市場の成長を遅くする要因に挙げられる。毎年国庫と自治体補助金を受けて買える水素自動車は数百台にすぎない。韓国が2013年に水素自動車「ツーソンix」を最初に生産したのにトヨタに追いつかれることにならないかとの懸念が出ている理由だ。現代自動車は2014年に量産を開始したトヨタの「MIRAI(ミライ)」より1年早く水素自動車の量産に成功したが、2014年から海外市場での販売台数1位をトヨタに譲った。大徳(テドク)大学自動車学科のイ・ホグン教授は「市場で水素自動車に対する関心が大きくなっている時に水素自動車と水素ステーション関連補助金支援を増やして大衆化を誘導する必要がある」と話している。
※本記事の原文著作権は「韓国経済新聞社」にあり、中央日報日本語版で翻訳しサービスします。

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トヨタMIRAIを待ち受けるのはどんな未来? 資源エネルギー庁に聞く 【前編】
2015年09月16日
日本が特許の6割を握っている!
戸邉:ところで私は燃料電池室長なので、FCV推進派ですけど、経済産業省には自動車課もあり、コチラは“全方位外交”なので全部を推進していく傾向があります。まあつまり、次世代自動車戦略ということで燃料電池車もやるものの、EVもやるし、ハイブリッドもやるということ。まさにベストミックス、上手な住み分けが必要になるんですね。
小沢:そうですか。
戸邉:それからエネルギー的に申し上げると、災害時の非常用電源ということでは既存のEVもいいのですが、燃料電池車はその5倍ぐらい役立ちます。FCVの水素タンクを満タンにしておくと一般家庭で一週間くらいの電気が賄えるんですよ。
小沢:そりゃすごい。いわゆる「MIRAI to HOME」というシステムの可能性ですね。
戸邉:さらにもう一つ、非常に重要なポイントがあって、燃料電池の技術はEVと違って日本が決定的に強いんです。
小沢:でも、厳密にいえば世界最初の燃料電池車は韓国ヒュンダイの「ツーソン」ですよね? もっとも1台1億5000万ウォン(1517万4450円)もするので、さほど普及していないようですが。あれはやっぱりカタチだけですか?
戸邉:いや、韓国も頑張っていて、投資はものすごいものがあると思います。ただそれ以上に日本には技術の蓄積があるんです。
小沢:家電の有機ELパネルみたいに、いつの間にか追い越されていた…とはならない?
戸邉:大丈夫だと思います。見てもらうと分かりますがMIRAIの価格性能は圧倒的で、ホンダもすでに2世代目の燃料電池リース車「FCXクラリティ」を出してます。そこはやっぱり日本が進んでいるし、複数メーカーで競い合っていますから。他にドイツではBMWやダイムラー、フォルクスワーゲン、米国ではGMやフォードがやっていますが、総合力では日本企業の方が強い。
小沢:ちなみにさきほどの、日本としては燃料電池車もEVも両方推進していくという話ですが、僕が不思議に思ったのは、トヨタはなぜ燃料電池車を取ったのか? ということ。EVに熱心なのは日産と三菱であって、トヨタはそうではない。しかも話を聞くと燃料電池車は決して順風満帆ではなく、逆に技術的難しさはEVよりも上。だから、EVより燃料電池車のほうに未来があるという考えの根拠が、イマイチなんですよ。燃料電池車は水素ステーションの普及も大変ですし、申し訳ないですが、僕らとしては税金だけ使われちゃって…という心配があって。
戸邉:インフラにお金がかかるのは覚悟してます。クルマも現状は手造りの状態ですし、生産台数も少ないでしょう。ただ、トヨタがこれだけ経営資源を投入してやっているということは大きいですし、それがインフラ企業に影響してます。
小沢:でもまあなんだかんだでEVも含めて、新エネルギー車はものすごく博打度が高い。もちろん冒険のないところには成功もないし、トヨタも経産省も相当頑張っているから、発展する確率は高いとは思うものの、その自信の根拠がもうちょっと分からないものかと…。
戸邉:実は大きいのは燃料電池の特許を世界的に日本が6割くらい握ってるということ。もちろん報道されているようにトヨタは特許の一部を開放してます。ただ、「車両は日本で造る」と公言していますし、燃料技術を含めて関係業界は多岐にわたります。そこが他業種とは違うところで、日本の産業界全体に及ぼす影響が大きいんです。
小沢:要するに水素に関してはまさに“国策”ということですよね。日本を支える新・基幹産業になる可能性があると。
EVだとリチウム電池は世界中で作っているし、電気を作る技術自体も当たり前になっていますが、燃料電池は今のところ日本でしか安く作れず、水素を造る技術、運搬する技術も日本が握っている。だから日本にとってとてつもないビッグチャンスなのだと。
戸邉:そういうことです。
https://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20150909/1066299/