昨日、発表された「毎月勤労統計」の再集計の結果、2018年1月〜11月の名目賃金を示す「現金給与総額(名目賃金)」は下方修正され、「賃金伸び 21年5カ月ぶりの高水準」「アベノミクスの成果」などと大々的に報じられた昨年6月の「3.3%増」も、「2.8%増」と修正された。
だが、この2.8%というのも、実態を反映した数字とはほど遠く、実際はその半分、1.4%だというのだ。
実際、きょうの閉会中審査で、総務省大臣官房審議官は、こう答弁した。
「統計委員会の見解としては、伸び率については(再集計値の2.8%ではなく)1.4%で見るべきだと、そういう見解であります」
この数字は極めて重大だ。というのも、国民民主党の山井和則議員の指摘によると、この統計委員会の見解に従って適切に算出すれば、
昨年の賃金伸び率はプラスではなくマイナスになるというからだ。
実態は多くの国民の生活は苦しいのに、なぜ「賃金は21年5カ月ぶりの高水準」などという虚偽の数字がはじき出されたのか──。
2015年10月16日におこなわれた、安倍首相が議長を務める「経済財政諮問会議」でのこと。議事要旨を見ると、その席上で麻生財務相は、2%のインフレ目標のために「意識を変えていかなければならない」と述べ、そこで「私どもは気になっているのだが、統計についてである」と切り出し、問題の「毎月勤労統計」について、こう語ったのだ。
「毎月勤労統計については、企業サンプルの入替え時には変動があるということもよく指摘をされている」
「ぜひ具体的な改善方策を早急に検討していただきたいとお願いを申し上げる」
じつは、統計のサンプル企業の入れ替えによって〈安倍政権が発足した12年12月以降の数字が下振れしてしまった〉(西日本新聞2018年9月29日付)という背景があった。つまり、麻生財務相は“下振れする変動をどうにかしろ”と言及したのである。
そして、この麻生財務相の指示により、2018年1月から統計の作成手法は変更され、「アベノミクス偽装」は始まったのだ。
果たして、安倍首相と麻生財務相はどこまでこの「偽装」に関与していたのか──。安倍首相は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の基調講演でも「私が総理在任中の6年間に、日本のGDPは10.9%伸びた」「子どもの相対貧困率が初めて大きく下がった」などと成果を誇ったが、いまやそれらの数字にも疑いの目は向けられている。事実、
国内では総務省が56種類の基幹統計のうち22統計に手続き上の誤りがあったと発表したばかりだ。