路面電車の岡山駅乗り入れに着手 18年度から岡山市が事業方針
岡山市がJR岡山駅(奥)の東口広場への乗り入れを決めた路面電車
岡山市は8日、検討を進めているJR岡山駅東口広場への路面電車乗り入れについて、2018年度から事業に着手する方針を明らかにした。交通量データを用いたシミュレーション調査で渋滞など周辺道路に影響は発生しないことが確認できたため、乗り入れは可能と判断した。市は同年度当初予算案に関連経費を盛り込む。完成時期は未定。同日、市内で開かれた地元説明会で大森雅夫市長らが市の考えを示した。説明会では市の担当者が、独自の解析システムを持つ東京大の研究グループに依頼して昨年11月~今年1月に行った調査結果を報告。路面電車が横切ることになる駅前交差点で、信号パターンの変化を考慮して車の流れを調べたところ、同交差点を車が通過するための信号待ちの回数は乗り入れの前後とも1、2回で「著しい渋滞は生じなかった」とし、予算など事業化に向けた準備状況も伝えた。
同席した大森市長は「乗り入れで多くの市民や観光客らの利便性が高まる。著しい渋滞が発生したり、周辺商店街への人の動きが滞ったりすれば直ちに対策を進める」と理解を求めた。
説明会には、渋滞などへの懸念から一部が反対している出石地区連合町内会と岡山駅前商店街振興組合の役員ら約30人が出席。市の説明に対して「事業の実施ありきで物事を進めているように思える」「今後も地元の話を聞いてほしい」といった意見が出た。
退席後、大森市長は「直接話を聞き、地元がどんな不安を抱いているかを理解した。払しょくするため、説明を続ける」と述べた。
市は今月中旬にまとめる18年度当初予算案に、軌道の延伸やホーム新設などに必要な都市計画決定の手続きをする経費や、同駅地下街を補強するための設計費など計1億3千万円を計上する予定。順調にいけば、19年度にも乗り入れの詳細設計を実施する。
路面電車の乗り入れは、交通結節点となる岡山駅の利便性と中心市街地の回遊性を高める狙いで、大森市長が1期目就任直後の13年12月に検討する意向を表明。15年11月には複数のパターンから「平面方式」を選び、有識者の検討会で同広場のレイアウトなどを議論している。
JR岡山駅への路面電車乗り入れ計画案 現行の発着点となる岡山駅前電停から軌道を駅方向に約100メートル延ばし、駅舎前に3カ所のホームを備えた電停を新設。岡山駅東口を出て電停までの距離は現在の約180メートルから約40メートルになる。現在の駅前電停は東西に2カ所あるホームを東側に集約し、西側ホームとともに地下街と接続する階段を廃止する。概算事業費は9億9千万円で、国と岡山市、運行事業者が負担することを想定している。
岡山市が路面電車の環状化検討へ 新市民会館へのアクセス高める
岡山市が延伸・環状化の検討に着手する路面電車
同日発表した18年度一般会計当初予算案に検討費1千万円を計上した。会見で大森雅夫市長は「(定時性の高い)路面電車の活用は市民生活にプラスになる。(延伸・環状化には)多くの関係者との調整が必要で、いつから、どのような手法で行うのが最も効果的なのか考えていきたい」と話した。
検討作業はコンサルタント会社に委託し、市民の交通利用実態を調べた「パーソントリップ調査」(12年実施)のデータを活用して市中心部の人の流れや交通手段を分析。新市民会館のほか、市中心部で計画されている再開発事業なども加味しながら将来予測をまとめ、効果的な延伸・環状化のパターンを絞り込む。
路面電車は、JR岡山駅前電停から柳川筋を経由する清輝橋線(2・1キロ)と、城下筋を経由する東山線(3・0キロ)の2路線。市は、同電停から延伸してJR岡山駅東口広場に乗り入れる事業については18年度から都市計画決定などの手続きに入る予定で、一般会計当初予算案に延伸・環状化の検討費と別に7190万円を盛り込んでいる。
路面電車の延伸・環状化はこれまでも議論され、市は01年に市役所筋(岡山駅前―市役所間約1キロ)での延伸を想定した社会実験を実施したが、具体化は見送られた。
吉備線LRT化で正式合意 岡山市・総社市・JR西
公共交通のゆくえ
2018/4/4 20:09
岡山市と岡山県総社市、JR西日本は4日、岡山と総社を結ぶJR吉備線(20.4キロ)の次世代型路面電車(LRT)化で正式合意した。事業費約240億円の38%を国費でまかない、岡山市29%、総社市9%、JR西24%の割合で負担する。今後は基本計画を策定し、10年程度後の運行開始をめざす。

運行にかかる経費は年間6億円程度。このうち修繕費は1億円程度と想定し、半分の5000万円を2市で負担する。電化設備や車両基地といった地上設備の整備や車両の仕様、資産所有を含む運営についてはJR西、新駅の設置や路面電車区間の道路拡幅については2市が主体となって検討を進める。
吉備線では現在、気動車で日中に1時間1~2本、朝のラッシュ時に3本運行している。LRT化後は3両編成の低床型電車を12本導入し日中は3本、ラッシュ時は岡山―備中高松間で6本、岡山―総社間で4本に増やす。新駅は7カ所に設置する予定。直近と同程度の1日1万1000人の利用を想定すると、運賃を2割引き上げることになるという。
記者会見で岡山市の大森雅夫市長は「一日も早く実現できるように力を合わせたい」と意気込みを見せ、総社市の片岡聡一市長は「本数増加をエネルギーとして沿線開発を進めていきたい」と強調。来島達夫社長も「利用促進と沿線の活性化に資するのではないか」と期待を示した。
吉備線のLRT化に関してはJR西が2003年に提案し、14年から本格的な協議を重ねてきた。