これまでの累計患者数は10人で、最初の7人が武漢からの旅客、直近の3人がマカオ人だ。こんなことが可能になったのも、2月5日から中国大陸からの入境も中国大陸への渡航も禁止しているからである。
マカオを管轄するのは中国政府(北京政府)の全人代(全国人民代表大会)常務委員会である。この委員会が、マカオがこのような措置を取ることを許可しない限り、マカオ政府の一存では動けない。ということは北京政府がマカオ政府のこのような、中国大陸居住者の入境を禁止することを認めたということになる。
日本は中国に利用されているだけ
この事実を深く考えてみよう。
2月20日付のコラム<習近平国賓訪日への忖度が招いた日本の「水際失敗」>で、「中国政府はアメリカの対応を『非常に非友好的である』として強く非難する一方、日本は『非常に友好的な国』として絶賛の嵐を送っている」と書いた。今般も安倍首相と楊潔チとの会見で安倍首相が言った言葉を「習近平礼賛の代表」として中国では大きく扱っている。
しかし、自国が管轄するマカオに関しては、中国大陸からの渡航者を入境させないことを肯定し歓迎するわけだ。これはマカオを自国とみなして、自国の利益を優先しているからだ。同じ特別行政区でも香港市民が反中的であるのに対して、マカオは非常に親中的で「一国二制度」の模範生である。そのマカオがカジノを中心とした観光地としての収入源を失うことを警戒し、習近平はマカオを守ろうとしている。
ということは逆に言えば、中国人入国の全面規制をしない日本は、習近平にとっては「これ以上においしい国はない」ということになる。日本に患者が増えようが知ったことではないのだ。中国を拒絶しない「先進国(G7)」の一国があれば、その存在を中国に都合が良いように宣伝して最大限に利用できる。
2月25日から中国山東省威海市などは日本と韓国からの渡航者を規制し14日間隔離していることを中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」電子版「環球網」が報じているが、もちろん中国政府はそれを非難したりせず、むしろ奨励している。日本は世界から警戒される国になってしまったが、習近平は、「それは歓迎」なのである。
そんな日本は二階幹事長などが音頭を取ることにより中国にマスクや防護服などを大量に寄付し、中国人ネットユーザーから「そんなことばかりしてたら日本で足りなくなってしまうんじゃないか」と心配されているほどだ。そして実際、日本人はマスクが買えなくて困っている。
これが日本だ。安倍政権の実態なのである。
私自身はこれまで安倍首相を心情的に応援してきたつもりだが、習近平を国賓として訪日させることを決定した安倍首相を応援する気にはなれなくなってしまった。ましてやそのことを重視して習近平に忖度し、日本国民にここまでの犠牲を強いている安倍政権を応援する日本国民は、きっと多くはないだろう。残念でならない。