韓国の20代は貧しい。失業率は9%台、「拡張貧困率」は23%とされる。背景にあるのは、大企業と中小企業の大きな格差だ。雇用の伸びない国内を見限り、海外就労に力を入れる政府。若者たちはその現実を「ヘル朝鮮」と自嘲する。子どもに人気の職業体験型テーマパーク「キッザニア」にも、その実態は表れる。日韓キッザニア比較が浮き彫りにするものとは——。
「若者はみな中東へ」と朴槿恵大統領
現地で働いて生活することは海外移民と変わらない。移民1世は言葉の問題もあり、高度な専門技術がない限り、移住後は社会階層が低下することが多い。米国移民に行った1世がよい例である。
一方、日本は距離的、文化的、言語的に近いうえ、現地社員と同等の待遇で採用され、水平的な階層移動が可能だとして、就職希望者は後を絶たない。
そうしたことから文在寅政権は、とりわけ日本への就職を奨励すると大々的に喧伝してきた。政府高官が来日し、たびたび日本政府に協力と支援を訴えている。それにもかかわらず、2019年に日韓関係が悪化すると、国内の就職博覧会などで日本企業を対象から除外した。この措置に対しては愚策であると、国内から強い批判の声が上がった。
「大韓民国の若者がごっそりいなくなるほど、中東に進出してみたらどうか。あれ、韓国若者はどこに消えてしまったのか。みんな中東に行きましたよ、と言えるくらいに」
2015年3月の貿易投資振興会での朴槿惠大統領の発言である。韓国政府は、かつて炭鉱夫や看護師が不足した旧西ドイツや建設ブームに沸く中東へ、自国の労働者を積極的に送り出していた。外貨獲得と失業対策のためだった。朴正熙大統領の頃の話だ。