新潟に最新鋭の“密輸監視船” 小さな船も捕捉可能
2020.12.31 06:00プレミアム Twitter反応Facebook
新潟税関支署に配備された最新鋭の監視船「りゅうと」=12月、新潟東港(本田賢一撮影)
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東京税関新潟税関支署に12月、密輸などの洋上監視に当たる最新の大型監視艇「りゅうと」(143トン)が配備された。覚醒剤などを洋上から密輸する事件が増える中、新潟市北区の新潟東港を拠点に日本海での監視活動を担う。通常は税関関係者しか乗船できないこの船に、就役直前に乗った。(本田賢一)
機動力アップ
「りゅうと」は全長37メートルで幅6・6メートル。通常出力での航海速力は30ノット(時速約56キロ)。高速ディーゼルエンジンをフル稼働させたときの最高速度や航続距離は「取り締まりに影響するため非公開」(新潟税関支署の菅家久和次長)だが、船体に高速航行に最も適しているとされるアルミニウム合金が使われていることから、それなりの速度が出ると思われる。
推進方式は日本海の荒波を考慮し、プロペラを回転させ進む方式を採用した。「高圧の水流を噴出して進むウオータージェット方式は荒波で横滑りを起こすため、日本海のように荒波が多いところには適さない」(菅家氏)からだ。
また、同船は最新機器を搭載しており、大きな船から積み荷を積み替えようとして近づく小さな船もレーダーで捕捉できる。さらに船体を横に動かすための動力装置「バウスラスター」を装備した。
榎本直樹・東京税関長は「麻薬や銃の取り締まり業務にこれから就くが、横の移動がしやすくなって機動力がアップした」と期待を寄せた。
瀬取りを抑止
普段は新潟駅から車で40分ほどの新潟東港の岸壁に停泊している。タラップから船内に入ると、固定テーブルや椅子などが置かれたサロンがあり、打ち合わせや食事などに使われる。
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「りゅうと」の操だ室(本田賢一撮影、画像の一部を加工しています)
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サロン近くの階段から上階に上がると、操だ室がある。乗組員は7人。ほかに新潟税関支署の職員が監視員として乗り込み、不審船舶がいないか監視する。
「瀬取りの抑止などを目的にしたパトロールが主な任務。不審船を追尾するとともに、場合によって海上保安部や警察に連絡し、連携して取り締まることもある」(菅家氏)
瀬取りとは、洋上にいる船舶間で積み荷を積み替えること。密輸されてきた物資を上陸させる際に行われることが多い。また、北朝鮮籍の船舶による瀬取りは国連安全保障理事会決議で禁止されており、日本などの国連加盟国が監視を強めている。
情報収集も重要な任務の一つだ。「寄港先で、怪しい船が入ってきていないか情報収集する」(菅家氏)という。
怪しい船とは次のような船を指す。(1)夜中に漁具も積まずに出港する漁船(2)外国船と頻繁に無線で交信したり、沖合に向かって信号を送ったりしている船(3)高出力のエンジンや大型の燃料タンクを搭載するなど、目的がはっきりしない改造を施した小型船舶(4)船籍を隠している船など-だ。
最新の密輸事情
財務省関税局によると、令和元年に洋上取引などで密輸された全国の覚醒剤押収量は、前年の約11万倍の約1・6トン。2年は、新型コロナウイルスの影響で世界的に人や物の動きが止まったこともあり、上半期(1~6月)の洋上取引などで押収した覚醒剤はゼロだった。その分、航空、海上貨物にしのばせて覚醒剤を密輸する手口が増えている。
新潟税関支署は新型コロナの収束後を見据え、「従来の監視取り締まり体制を維持していく」という。