コロナ防疫「重大事件」発生、金正恩氏が幹部の無能ぶりを叱咤
北朝鮮でコロナの感染者が発生した可能性
最高クラスの常務委員らが電撃解任される
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が異例にもわずか12日で再び政治局拡大会議を招集し、感染対策において「重大事件が発生した」として幹部らの無能と無責任を叱咤(しった)した。権力序列で5位以内に入る常務委員まで解任するなど、大規模な問責人事も同時に行った。専門家は「コロナの感染者が確認されたか、食糧難解消のために金正恩氏が指示した『軍備蓄食料動員』の計画が予定通り進んでいない可能性が考えられる」などの見方を示した。
■「新型コロナ対応、政府はよくやっている」デンマーク1位、韓国6位…日本は?
北朝鮮の労働新聞は30日付で党政治局8期2次拡大会議の開催を報じ、その際に金正恩氏がコロナの感染対策について「国家と住民の安全に危機をもたらす重大事件が発生した」と述べたことを伝えた。叱責の原因となった「重大事件」の内容について具体的な言及はなかった。北朝鮮がこれまで「コロナ感染者0人」と主張してきたことから考えると、コロナの感染者が発生したか、あるいは感染対策目的の朝中国境地域封鎖に穴があいた可能性が考えられる。ただし昨年7月に脱北民が開城に越北した際には国家非常防疫体系が「最大非常態勢」へと引き上げられたが、今回はそのような感染対策の強化は行われなかった。
一部では金正恩氏が今回の会議で「激しい怠慢、怠業行為」「無知と無能力、無責任」「人民生活の安定と経済建設全般に否定的な影響を及ぼす過誤」などと発言したことから「感染対策と関連する指示の不履行と関係がある」との見方に重点が置かれている。金正恩氏は今月18日の全員会議において「食糧難」を認め、その上で特段の対策を強調し、その後の対応として軍の備蓄食料を使うよう指示した。国家安保戦略研究院の金仁泰(キム・インテ)責任研究委員は「軍がこのような指示を迅速に実行に移さなかったため、強い叱責と問責人事を行ったのかもしれない」との見方を示した。
金正恩氏はこの日、自らを含めわずか5人の政治局常務委員まで解任した。軍序列2位の李炳哲(リ・ビョンチョル)副委員長の責任が追及された可能性もささやかれている。労働新聞がこの日公開した写真を見ると、主席壇に座っている人物が一斉に手を上げて議決する中、李炳哲氏だけが視線を落として腕を低くしている様子が写っていた。経済政策失敗の責任を追及するため金徳訓(キム・ドクフン)内閣首相が解任された可能性も考えられる。金徳訓氏は北朝鮮における経済政策のコントロールタワーの役割を担っているが、この日の討論者の写真には写っていなかった。