【朝日社説】中国経済がやばい 日本は官民を問わず中国と積極交流、投資しろ
2022年11月12日 16:13
中国経済への不安が広がっている。新指導部には国際協調路線を曲げず、透明性を確保して成長を目指すよう望む。 不安の最大の理由は、先月の中国共産党大会後に決まった人事だ。経済に通じた李克強(リーコーチアン)首相、劉鶴(リウホー)副首相らが党幹部の顔ぶれから消えたのに、代わるかじ取り役が見当たらない。
改革開放から世界貿易機関(WTO)加盟を経て、市場経済を機能させながら世界に融合していく。この流れが断たれるのでは、との懸念が募る。
すでに経済は停滞傾向だ。今年7~9月期の国内総生産は前年同期比3・9%増。中国にしては低い伸びにとどまった。
何より深刻なのは、行き過ぎともいえる新型コロナウイルス対策である。頻繁に繰り返される封鎖措置で、上海をはじめ大都市の経済活動が止まる事態が相次いでいる。
公衆衛生よりも、ゼロコロナに固執する習近平(シーチンピン)政権の体面を優先しているのではないか。多くの外国企業が、こうした政治的要因が中国経済の予測可能性を損ねているとみなし、重大なリスクととらえている。しかも感染はこのところ再拡大し、ゼロコロナは出口が見えない。
経済安全保障上の懸念が高まる日本では、重要物資の依存を減らしたり、技術流出を防いだりする対象として、中国を意識せざるを得ない。中国側も複合機などの事務機器で国産化を強引に進めようとしている。経済活動を国境線内に閉じ込める動きは徐々に強まっている。
中国が発展すれば「中国脅威論」、停滞すると「中国不安論」と、国際社会の対中評価はぶれがちだ。それだけ中国の存在は大きいともいえる。
だからこそ、日本を含む各国が今も中国と活発な貿易・投資を行い、その維持に互いの利益を見いだしている現実を直視すべきだろう。米中対立が先鋭化する中でも、多くの米企業が中国で利益を上げている。
今月はじめにはドイツのショルツ首相が訪中した。共産党大会直後とあって、習政権の強権化を容認するのかとの批判が上がった。だが、重大な人権問題を含めて中国に正面から注文をつけるためにも、対話の窓を閉ざすわけにはいかないだろう。
コロナ禍で交流が途絶えがちな折、日本の経団連が9月に李首相とオンラインで対話を持ったことには意義があった。経団連は透明なビジネス環境の整備などを求めたという。
安全保障も含め、多くの対立要因を抱える中国との共存共栄の道は困難を極める。だからこそ、官民を問わず様々なレベルで一層の意思疎通を図っていく努力が欠かせない。
2022/11/12 5:00 朝日新聞
https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S15472020.html?iref=sp_rensai_long_16_article