サムスンは危機感を抱いている
ではサムスン自身はこの現実をどうとらえているのか。
最初にサムスン幹部の口をついてでてきた言葉は「危機感」だった。
「イゴンヒ前会長が会長職に復帰後、真っ先に指摘したのはトヨタを反面教師にせよ、だった。あのトヨタですら品質問題を起こしている。次はサムスンが槍玉にあげられてもおかしくない。品質へのこだわりを強く持たなければいけないということです」
危機感を煽ることで社内の緊張感を維持しようとするのはイゴンヒ会長一流の経営術でもある。技術は日本に学び、ドラスチックな集中と選択、容赦ない成果主義など経営は米国を手本としたサムスンからは、たしかに驕りらしきものが一切伝わってこない。これは凄い。
では技術力に対する自己査定はどうなっているのか。
「日本の技術、日本の部品なしにサムスンは成り立つのか」と端的に尋ねてみた。
答えがふるっている。
「我々はまだまだ日本に学ばなければいけない」
もっとも、ある大手エレクトロニクスメーカーの役員OBはサムスンに引き抜かれていった日本人技術者の技術レベルに疑問を投げかける。
「私の元部下にもサムスンで働いている技術者がいる。しかし彼の生産技術のレベルは20年前のもの。日本とは比べるべくもない」