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ジャパンエキスポとは何か
ジャパンエキスポ(Japan Expo)は、フランス・パリ郊外で行われている、日本文化をテーマにしたイベントです。
マンガ・アニメ・ゲーム・音楽・ファッションなどのポップカルチャーと書道・武道・茶道・折り紙などの伝統文化をテーマに、2000年から毎年開催されています。
ここ数年来場者数が急増し、昨年(2009年)は4日間で165,500人の来場者を集めました。今年(2010年)の来場者数の実績はまだ発表になっていませんが、予測では180,000人でした。フランスの一般ニュースでも社会現象として取り上げられるまでになりました。
ジャパンエキスポのオフィシャルガイドブック(2010年版)は、以下のように紹介しています。
今から10年前、日本文化の情熱的なファンであった数人の若者達が、フランスにおいて当時まだ未開拓だった漫画及び伝統文化、そして「今」の日本文化に特化したイベントを開催するという壮大な案を企画、そして実行に移しました。こうして始まったジャパンエキスポは見事成功を納め、2007年からは、ヨーロッパ最大の日本文化とエンターテインメントのフェスティバルと成り得ました。2009年には10周年を迎え、95,000㎡を有する会場は 165,501人もの来場者で埋め尽くされました。こうしたジャパンエキスポの成功は日本にまで届き、日本の政府機関を始め、多くの日本企業からも参加いただいています。
[引用:ジャパンエキスポ・オフィシャルガイドブック(2010年版)]
「ジャパンエキスポ来場者数推移」
ジャパンエキスポの特徴を3項目にまとめると
1)アニメ・マンガを核にした日本文化をテーマにして
2)フランスで急成長しているイベント
3)地元の若者達の手で運営されている
となります。
最近は、「クールジャパン」ブームを背景として、ジャパンエキスポと同じように、マンガ・アニメを核にして日本文化を伝えるイベントが、世界各地で行われるようになりました。
その中でも圧倒的な規模を誇るジャパンエキスポは、「クールジャパン」を象徴するイベントであると言えます。ヨーロッパ全体を見渡しても、これだけ人を集めることができるイベントはそう多くはありません。

私は、2008年、2009年、2010年と連続してジャパンエキスポに参加し、ファッション雑貨の販売やアンケート調査などを行なってきました。
幸い、ジャパンエキスポの主催者であるSEFA-EVENT社の代表たちと知己を得ることができたため、彼らと情報交換しながら、日本のファッションビジネスをジャパンエキスポに反映させる可能性について検討してきたのです。
残念ながら、日本のメディアでは、ジャパンエキスポについてピンポイントの報道しかなされておらず、実際のところ「今何が起きているのか」について把握しにくいようです。
そこで、自分自身の生の体験を通じて感じたジャパンエキスポの実相について、みなさんにお伝えしていきたと思います。
ジャパンエキスポの主催者
こうしたイベントを日本で開催ようと考えた場合、スポンサーを見つけることから仕事はじまります。その後にマスコミや行政機関の協賛や後援を得て、形が整ったところで大手広告代理店が出展者を募集します。そうでなければ出展者が集まらない、というのが日本での「常識」です。しかし、ジャパンエキスポには大手のスポンサーがいません。もともと学生たちの手作りのイベントから始まったジャパンエキスポは出展料と入場料だけで成り立っているからです。規模が大きくなった今でも同じやり方で運営されています。
ジャパンエキスポの主催者であるSEFA-EVENT社は、このイベントを開催するために作られました。代表はジェフ・デュフール(Jean-Francois DUFOUR)、トマ・シルデ( Thomas SIRDEY)、サンドリーヌ・デュフール(Sandrine DUFOUR)の3人。学生時代からの付き合いのある3人は、皆30歳そこそこの若さです。
「SEFA-EVENT社ジェフ代表と筆者」
ここでは、重要な決定はジェフを通さないと決まらないことになっています。彼は、マンガやアニマが好きとはいえ、日本カルチャーの「オタク」というわけでもありません。むしろ現場で先頭に立っていることを好みます。今年のジャパンエキスポの開催前日も、何台ものフォークリフトを連ねた一番先頭の車両を、赤いユニフォームを着たジェフがうれしそうに運転しているのを見かけました。
アルバイトとも見分けが付かないこの男が、ジャパンエキスポの最重要人物であることに、多くの人は気がつかなかったようです。
ジェフたちのもとには、「一緒に組んでやらないか」という提携話が毎年山のようにやってくるそうです。
「日本人でもフランス人でもそういう人はたくさんいる。でもちょっと話をするとすぐに分かる。彼らはお金の話しかできないからね。」
マンガやアニメやファッションや音楽の話で金儲けの話だけをする人間を彼らはとことん嫌っています。そういう人間とは極力付き合わないことがジェフたちのポリシーになっているのです。
対外的な業務ではジェフはあまり表に出てきません。代わりにトマが行っています。トマは風貌からすると「オタク」のように見えますが、なかなか戦略家で、マーケティング関連は彼の領域になります。英語も上手なので、VIP対応やセレモニーなども、もっぱらトマが担当しています。今年も、日本政府の一行をスーツ姿のトマが案内していました。
サンドリーヌはジェフの奥さんです。朗らかで人当たりの良い彼女は、キメ細やかな調整役には適役のようです。いつも出展者のおばさんと長話をしています。イベントを開催することを、心から楽しんでいる様子が感じ取れます。
日本語を話せるスタッフすら一人もいませんでした。
NANAのフランス語翻訳を手がけたことでも知られているシボ紗江さんが日本関係担当として入社したのがわずかに3年前のことです。
「SEFA-EVENT社トマ代表、サンドリーヌ代表と筆者」
「SEFA-EVENT社シボ紗江日本関係担当、アパレルウェブ千金楽社長と筆者」
フランスで、日本文化をテーマにしたイベントがここまで大きくなるとはほとんど考えられていませんでした。日本やフランスの政府機関が関わっているわけでも、大企業がサポートしているわけでもない。一番驚いているのは主催者である彼ら自身かもしれません。それでも破綻せずにやってこられたのは、スポンサーや代理店に頼らず、信頼できる同じメンバーでやってきたことが大きいのだと思います。
決定権をジェフが握り、トマが対外的業務を担当する。業務はアルバイトと外注に割り振る。
あくまでの自分たちが主導権を握っていることが彼らの力の源泉になっているのです。
ジャパンエキスポでは何が行われているか
ジャパンエキスポでは、幅広いジャンルの日本文化を取り扱っています。
ジャパンエキスポでは「学ぶ・楽しむ」をテーマに、漫画、J-Music、コスプレショーや武道に至るまで、様々な日本の伝統文化そして現代のポップカルチャーを紹介します。会場には漫画、アニメ、そしてビデオゲーム界のエディターを始め、多くのブティック、日本文化に強く影響された若手クリエーターのスタンド、そして150を越える同人誌のスタンド等が出展します。イベントの主なコンテンツとしては、ファッションショー、ライブコンサート、上映会、コスプレやカラオケ等のコンクール、ビデオゲームのトーナメント、武道のデモンストレーションやイニシエーション、ゲストによるトークショーやサイン会等が挙げられます。また毎回、漫画家やキャラクターデザイナー、監督、シナリオライター、ミュージシャン等、日本から様々なゲストがジャパンエキスポに参加、多くのファンとの交流を図っています。
●ライブ
昨今ヨーロッパ、得にフランスにおいて日本のアーティストに興味を持つ若者が増えています。J.E. Live Houseは、ジャパンエキスポのライブ専用会場として、2008年度のジャパンエキスポからオープン。以前ライブ用に用意された会場の収容人数は 3000人でしたが、この「J.E. Live House」の開設により8000人が収容可能となりました。このJ.E. Live Houseでは入場料無料のライブを行い、様々なジャンルのアーティストを紹介しています。
記念すべき第10回を迎えた2009年度のジャパンエキスポでは、イベント開催期間4日間中、アーティスト数14組、16回のコンサートを開催しました。 2009年度のゲストは以下です。(敬称略)
AKB48、分島花音、Puffy AmiYumi、Ra:IN、Suns Owl、GARI、Zamza N"Banshee、トリルダン、school food punishment、AOI、vistlip、Mozaic.waw、明日香、牧野ゆい
●伝統文化
来場いただく皆様に日本の伝統文化を紹介、親しんでいただくのもジャパンエキスポの目的の一つです。生け花、茶道、折り紙といった伝統文化の紹介をはじめ、特設ステージでは伝統楽器によるコンサート、着物ショー、日本舞踊等の紹介等もされます。
その他伝統文化紹介の一環として、ジャパンエキスポ会場では日本食を楽しむことも出来ます。Matsuri Sushiをはじめとする日本食のスタンドでは、日本の「名物ファストフード」として親しまれる、たこ焼き、ラーメン、寿司、巻き寿司等が販売され、多くの人々にそれらの味を発見、そして吟味していただいています。
●武道
フランスにおいて日本の武道は大変な人気を誇っています。ジャパンエキスポ会場内に設置される会場には畳等も用意され、剣道、柔道、空手、合気道等をはじめとする多くの武道のデモンストレーションが繰り広げられます。またイニシエーションのプログラムには多くの来場者の方々が参加、武道の基本を体験していただいています。
●ゲーム、アクティビティ
ジャパンエキスポに参加する多くのアソシエーションにより、将棋や碁といった伝統の遊びをはじめ、オセロ、クイズ、カラオケ等のアクティビティが開催され、来場者の方々によるトーナメントも行われます。
●サイン会、トーク会
ジャパンエキスポでは毎回各業界よりゲストの皆様をお迎えし、イベント中に開催されるサイン会もしくはトーク会などにより、多くのファンとの交流を図っていただいています。
ゲストによっては特別イベントも開催されます。2009年開催の第10回ジャパンエキスポにおいては、漫画界からの特別ゲストCLAMPが20周年を記念しジャパンエキスポに来場、サイン会及びトーク会、またCLAMPの作品をテーマにしたコスプレコンテストも開催され、CLAMPのメンバー自らが審査員となり、勝者に賞を授与する等のイベントが行われました。
●ファッション
フランスでは昨今日本のファッションに影響される若者達が大変多く、ジャパンエキスポで開催されるファッションショーにも沢山の人々が来場します。
2006年の第7回ジャパンエキスポでは、ファッションモデル、歌手、女優としても活躍、日本で人気の土屋アンナさんをゲストに迎え、初めてのファッションショー、Tokyo Girls Collectionを開催、土屋アンナさんによるライブも合わせて行われたこのファッションショーは大きな成功を納めました。そして毎年注目を浴びるファッションショーとして、最先端モードの発信地として知られる東京、原宿に位置するファッションデパート、ラフォーレ原宿が開催するものが挙げられます。ラフォーレ原宿は2007年度のジャパンエキスポから参加、著名なアーティストを音楽界から迎える等の見事な演出と共に、日本の優れたクリエーター達の作品を紹介しています。またその他、日本の流行に影響を受けたフランス人若手のクリエーター達によるファッションショーも開催され、2009年度には香水メーカーとして知られるコティ・プレステージがスポンサーとして参加、キャラクターフレグランスの「原宿ラバーズ」を発表しました。
[引用:ジャパンエキスポ・オフィシャルガイドブック(2010年版)]