米連邦地裁判事、オバマ政権のES細胞研究を仮差し止め
【ワシントン】米ワシントンの連邦地裁判事は23日、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)に関する研究への公的助成について仮差し止め命令を出した。オバマ政権の最も重要な科学政策の1つに打撃が与ぶ可能性がある。
Associated Press
米ワシントン連邦地裁のロイス・ランバース判事
同地裁のロイス・ランバース判事は、受精卵を壊す研究への公的資金の使用を禁じた法律を仮差し止めの理由に挙げた。
政府はこれまで、「受精卵の破壊」と「破壊された受精卵を使用した研究」とを区別するよう働きかけてきた。しかし、判事は「これらを切り離すことはできず」、萌芽期のES細胞の研究は「破壊されたヒト受精卵に必然的に依存する」と述べた。
政府当局者は、大統領の休暇中の今回の命令に関する質問について、司法省に照会するよう要請した。司法省は、対応を検討している、と表明した。この命令で数千万ドルの公的資金の拠出が見合わされる可能性がある。
オバマ大統領が科学政策において取った最初の行動の1つが、2001年8月にブッシュ前大統領により設けられたES細胞研究の制限を取り払うことだった。ブッシュ大統領は、研究を細胞株を対象としたものに限定した。オバマ大統領は09年3月、公的助成の範囲を拡大した。
09年7月、米国立衛生研究所(NIH)は、不妊治療用に作られたものの、廃棄される予定の受精卵から取り出されたES細胞を使った研究への公的資金の助成を容認するガイドラインを策定した。
受精卵から取り出されたES細胞はさまざまな組織や臓器に成長する能力を持ち、糖尿病や心臓病の治療の研究に役立つとみられている。一方、反対派は、ES細胞を取り出すための受精卵の破壊は、人命を奪うのに等しい、と主張している。
研究推進派の1人、トム・ハーキン上院議員(民主、アイオワ州)は声明で「控訴の必要がある。命令が覆ることを確信している。ES細胞研究は、病気に苦しむ数百万人の米国民に希望を与えるものであり、推進する必要がある」と表明した。
原告側を支持しているグループ、ナイトライト・クリスチャン・アドプションズは、子供に恵まれない夫婦が、ほかの夫婦の不妊治療で余った受精卵を得られる可能性がある、との見解を表明した。
記者: Brent Kendall and Laura Meckler