これは、1876年に、朝鮮との条約締結のために派遣された、宮本小一という外交官が残した記録です。
19世紀の朝鮮における宮廷料理とは、以下のようなものでした。
食事は1日2回で、たいてい10種類から17、8種に至る。三尺四方ばかりの有脚盆にうずたかく盛り上げて、倒れ落ちるのを恐れるばかりである。
牛豚鶏魚の肉、草餅、羮汁など、みな、器、皿に堆積する。しかし臭味がひどく箸を下す者が少ない。ただ桃李、林檎、瓜などは臭味がないので食べられる。沙果・・林檎に似て頗る大であるが美味ではない。マクワウリ、葡萄、西瓜、梨の類が多い。
水煮の卵、牛肉、豚肉、鶏肉、麺、カラスミ、乾し魚を削ったもの、或いは日本人のためにと焼き魚も出した。蜜を湯で溶いてミル(海草)と煮餅をあえたものなど。それらが、1人に対して実に10人分程もある驚くべき量であった。
炎熱の時節でもあり、その異様の臭いに堪えきれず、胃腸も慣れないこともあって食傷を恐れて箸を下す者が稀であった。なお、庶民のものは不潔で食べてはいけないと言う。
朝鮮高官は、「出す物が豊かでなければ賓客を饗応するにふさわしくない」とは言うが、飽かずに食うとしても人の口腹にも限度がある。膳台に種々の物をうずたかく積み上げて出すそれは、見ただけで人を先ず飽かせるものである。
胡麻を多産するので、ごま油をもって百食の調味の元とすると言っていい。また、たいてい胡椒と唐辛子を加えて調理しており、この2味を用いないものは無いも同然である。それゆえに朝鮮人は咽喉への刺激により、一種の咽喉の病気を受ける者が多いと聞く。
醤油は上品下品とあって、極上品は日本製に及ぶが、値段が高すぎて容易に得ることは出来ないと言う(おそらくは日本からの輸入品か)。下等品は不味くて食せない。味醂はない。砂糖も無いので蜜を代用している。牛乳は用いない。
米は日本のものと似るが、粘質に乏しく日本の下等品よりも劣る。
茶は無い。干した生姜の粉と陳皮(蜜柑の皮を干したもの)を砕いたのを煎じたものを「茶」としている。
宮本大丞朝鮮理事始末 「朝鮮理事日記」より
(Neoさんから拝借)
朝鮮の国王や両班でも、質よりも量で勝負する、極めて貧しい食生活だったようです。