
今年の電機業界は、平成20年秋のリーマン・ショック以降、落ち込んだ業績の回復が一段と鮮明になった。だが、韓国サムスン電子など海外勢との熾烈な競争が続く状況は変わらず、日本勢が優位を保っていた太陽電池などの環境関連事業でも追い上げられる一方だ。業界の危機感はむしろ高まっている。(牛島要平)
サムスンにたじろぐ日本メーカー
7月29日、パナソニックは50%超の株式を握っていた三洋電機とパナソニッ
ク電工を、23年4月をめどに完全子会社化すると発表した。パナソニックの大
坪文雄社長は会見で、「真に一体になったパナソニックグループを構築する」と
強い決意を語った。
薄型テレビでは各メーカーが相次いで3D(3次元)テレビを発売した。パナソ
ニックは3月に米国、4月に日本でも3Dテレビを発売し、価格下落の著しい薄
型テレビの収益向上を図る思惑だった。
ところが、米国ではサムスンの圧倒的な価格攻勢に苦戦を強いられた。「サム
スンのウサギのようなスピードに比べれば、われわれはカメだ」。大坪社長の言
葉に焦燥感がにじんだ。
環境事業に望み
シャープが堺市に建設した大型液晶パネル工場に続き、4月には兵庫県姫路
市でパナソニックの液晶工場が稼働し、大阪湾岸は“パネルベイ”と呼ばれる。
だが、その地位も危うい。パネルの標準化が進み、韓国や台湾の製品が価格
競争力をつけているためだ。「米国を中心に大型テレビの需要が増している。
大型パネルの堺工場の強みが出てくる」。シャープの片山幹雄社長はこう望み
をつなぐ。
こうした中で、家電各社が薄型テレビに続く将来の成長事業と位置づけるの
が、温室効果ガス削減で脚光を浴びる太陽電池や、エコカー向け電池などの環
境関連事業だ。関西でも設備投資が集中した。
太陽電池ではシャープが3月に堺工場での生産を始め、三洋も二色の浜工場
(大阪府貝塚市)などを増強。京セラは滋賀県野洲市の新工場を稼働させた。
脅かされる優位
電気自動車(EV)などの動力源となるリチウムイオン電池では、パナソニック
の住之江工場(大阪市住之江区)、三洋の加西工場(兵庫県加西市)が完成
し、GSユアサの栗東工場(滋賀県栗東市)も10月に着工した。
エコカー市場が拡大すればリチウムイオン電池の需要は一段と増える。しか
し、三洋の技術を取り込んだはずのパナソニックの優位は、すでに脅かされて
いる。2010年のリチウムイオン電池の世界シェアは、サムスングループのサ
ムスンSDIが20.1%を占め、三洋電機は19.9%で初めて首位から陥落する
見通しとなった。
パナソニック幹部は「電池で液晶の二の舞いを演じるわけにはいかない」と厳
しい表情で語った。競争力維持のために、さらなる投資が必要な来年こそが正
念場となる。
◇デフレが止まらず、急速な円高で疲弊した日本経済。厳しい経営環境が続く
中で、日本企業は生き残り策を模索したが、経営改革はまだ道半ばだ。日本経
済の縮図でもある関西経済の「今年」を3回にわたって振り返った。

たしかにサムスングは安いnida.