カブトムシのさなぎは周囲の土に体を打ち付けて、他の幼虫を遠ざけていることを、東京大学(東京都文京区)と森林総合研究所(茨城県つくば市)が突き止めた。この研究成果は、ドイツの国際行動生態学・社会生物学誌に掲載された。この「ノック」は、他のカブトムシの幼虫が無断で入室して、自室が崩壊することを防ぐのが目的という。また、ノックの仕方がさまざまな昆虫の幼虫を食べるモグラの移動に伴う震動に似ていることも判明し、他の効果を秘めている可能性があることもわかった。
カブトムシの幼虫は土の中で数十匹の群れで約8か月間を過ごした後、初夏に周囲の土を塗り固めて「蛹室」(ようしつ)と呼ばれる卵形の空間を作り、その中でサナギになる。蛹室はもろく、外部の刺激で壊されると羽化がうまくできず、死んでしまうカブトムシもいる。
東大などの研究チームは、小さなプラスチックの容器に、サナギ1匹と幼虫1匹を入れて実験した。サナギが生きていると、幼虫はサナギの蛹室を11回のうち1回しか壊さなかった。ところが、サナギが死んでいると幼虫は動き回って9回のうち8回蛹室を壊した。
そこで、土中のサナギを観察すると、幼虫が近づくと背中を蛹室の壁に打ち付けて震動を発していた。どのサナギもほぼ1.5秒間に1回という同じリズムで背中を打ち付けていた。さらに、この震動を空の蛹室で再現すると、幼虫は近寄らず、51回中3回しか蛹室は壊されなかった。
(朝日新聞)