東京大学の浦野泰照教授とアメリカ国立衛生研究所(NIH)の小林久隆主任研究員は、スプレーするとがん細胞だけが肉眼でわかるほど明るく光る試薬を開発した。1mm程度の小さながんでも、スプレー後1分程度で光る。がんの摘出手術の際に使えば、取り残しを見つけて除去できるため、再発防止に役立つとみている。5年後の実用化を目指す。
今回の研究成果は、科学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(電子版)に24日掲載される。
開発したのは、多くのがん細胞に存在するタンパク質「GGT」にだけ反応して蛍光を発する標識試薬。ヒトのがん細胞を移植したマウスに注射し、がん細胞だけが緑色に光るのを確認した。
がん細胞は正常細胞の20倍の明るさで光り、肉眼で容易に見分けられた。従来の試薬では正常細胞も光る場合が多く、がん細胞かどうかを判別するのが難しかった。
試薬成分は毒性がなく、投与量はヒトの場合でも1mg未満で済むという。1分以内に光るため、手術中にスプレーしてがん細胞の取り残しがないか確認できる。「ほぼ100%の確率でがんがわかる」(浦野教授)という。臨床応用へ向け、人体に使用できる基準を満たす試薬づくりを進めている。
(日本経済新聞)