
すべてをのみ込んだ濁流は すぐ そこに迫っていた。東日本大震災による津波に電車ごとのみ込まれた福島県新地町のJR新地駅。約40人の乗客の命を救ったのは、偶然乗り合わせた2人の巡査の連係プレーだったことが28日、分かった。
3月11日、新地駅に到着した常磐線の電車(4両)が激しく揺れた。次の駅で降りる予定だった福島県警相馬署の斎藤圭巡査(26)、吉村邦仁巡査(23)はすぐに車内に けが人がいないか確認して回った。
「大津波警報が出た」。乗客の男性の悲鳴が聞こえた。海からは約600メートル、すぐに津波が来る。近くの新地駐在所に詰めている吉村巡査は とっさにそう判断。西に約1キロの高台に避難誘導することを提案した。
「津波が来ます。安全な場所まで避難します」。吉村巡査を先頭に乗客が列をつくる。最後尾の斎藤巡査が足の悪い高齢女性に付き添い、高台へと歩き始めた。
約10分後。列から離されていった斎藤巡査は すさまじい音に後ろを振り向いた。たったいま歩いてきた道も、駅も見えない。代わりに見えたのは濁流にのみ込まれる民家と車だった。津波は200メートルほどに迫っていた。
逃げるように走ってきた軽トラックを止め、付き添っていた女性を助手席に乗せ、自ら荷台に乗り込んだ。高台で吉村巡査と合流し、乗客全員の無事を確認したのは約30分後だった。
27日に2人は地震後初めて新地駅があった場所を訪れた。4両は2両ずつ切り離され、1両は くの字に折れ曲がっていた。斎藤巡査は思わずつばをのみ込んだ。「少しでも判断が遅れていたら助からなかった」-。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110329/dst11032907540007-n1.htm