米国を助けてこそ紛争が減って安全になると判断したオーストラリア
米国・英国・オーストラリアの3国首脳は今年9月にオンライン首脳会議を開催し、会議末に3国軍事同盟である「オーカス(AUKUS)」を発足させると発表した。この発表は中国はもちろん、フランスをはじめとする多くの西側国家も驚かせた。それほどやり方が電撃的で、内容も衝撃的だった。オーカスの発足は今後の世界秩序と同盟関係の変化がさらに加速する可能性があることを示唆している。そのような秩序変化は大韓民国にも大きな影響を及ぼすため、ここに含まれた意味を細部までしっかりと分析して戦略と進路の設定に漏らすことなく広く参考にしなければならない。
オーカス同盟がどの国を狙っているかは問うまでもない。オーストラリアがなぜこのような電撃的な行動に出たのかを知るために時計の針を少し戻して見てみる必要がある。オーストラリアと中国の葛藤は最近になってさらに激化しているが、その前兆は2017年末オーストラリアが「外国干渉禁止法」を立法するころから始まった。この法はオーストラリアで中国の影響力がこれ以上大きくなることを遮断するのが目的だった。
2018年5月、中国ファーウェイ(華為)5G通信装備をオーストラリア政府が自国ネットワークに使用できないようにして両国関係は大きくゆがみ始めた。続いて中国系企業がオーストラリアで推進中だった10個余りのインフラ関連プロジェクトとその他投資事業をオーストラリア政府が国家安保を理由に事業承認を取り消し、両国関係はさらに冷え込んだ。
昨年、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)が勃発すると、スコット・モリソン首相が率いるオーストラリア政府は発源地調査に対する独立調査委員会の構成を求める提案を国際社会に公式に提起した。このようなオーストラリア政府の措置に対してオーストラリア国内にも少しやりすぎなのではないかという異見も存在した。しかし、オーストラリア政府はコロナが世界に及ぼす悪影響を考慮するとき発源地を徹底的に調査して再発を防止するのは国際社会の義務だと主張した。
オーストラリアがこのように最近米中覇権競争の中で米国に傾く選択をした背景を理解するためには、オーストラリアの戦略的思考の中に深く根を下ろした「同盟の放棄(Fear of Abandonment)」に対する恐怖を知らなければならない。オーストラリアは第2次世界大戦以前まで英国を最も信じられる同盟国と信じて英国との結束を固めてきた。しかし第2次大戦以降、大英帝国が衰退して英国から捨てられる可能性、すなわち放棄の危険を深く悩んだ。そのため第2次大戦以降、最強国に浮上した米国を選択して同盟国とした。
国際情勢が大激変のうねりの中にあるこの時点にオーストラリアの悩みは再び深まっている。オーストラリアは米国の国力が衰退していて以前のように自国の安保を全面的に米国に任せられるのか疑問を持ち始めた。そのため新たに台頭する中国と戦略的協力を強化することが代案になりえるかどうかしばらく悩んだ。
しかし最近数年間の中国の動向を見守っていたオーストラリアは戦略的決断を下したとみられる。中国が進む先が自由民主国家であるオーストラリアのアイデンティティとあまりにもかけ離れているため、2014年に締結した中国との戦略的協力パートナー関係をこれ以上維持することはできないという結論にオーストラリアは達した。
中国と距離を置くといっても衰退しつつある米国とはどのような関係を結ぶかという質問は依然として残る。戦略的な熟考の末、オーストラリアは衰退する米国一国で同盟国の安全保障を守っていくのは難しいと考えた。それならということで、米国を助けて共に国際秩序を維持することが自国に有利だという判断を下したとみられる。米中の覇権競争が激しさを増す中で米国を助ければオーストラリアが米中紛争に巻き込まれるリスクが高まる点もよく認識している。しかし結局米国一国で中国から守ってもらうように任せるよりは同盟国が米国を助けるときに紛争が発生する確率が減少して自国の国益に符合するという結論に達した。
変化する中国を見てオーストラリアは米国を助ければ中国から報復される可能性も予想していた。だが、中国の経済報復もオーストラリアの主権を守って同盟を維持するための費用とみなすことに対して、オーストラリア内部では論争がほぼない。オーストラリアは同盟関係に「タダ乗りはない」という事実をよく知っているため、同盟に伴う費用も覚悟している。それが同盟から放棄されるよりはましだと判断しているためだ。オーストラリアは「同盟の放棄」と「同盟の関与(Entrapment)」の危険性の間で戦略的計算を綿密に行ったとみられる。
ところがオーストラリアはドナルド・トランプ政府時期の米国が自国優先主義で直進する時はこれを批判すると同時に備えもした。オーストラリアは米国や中国など強大国が自国国益のために一方的に国際規範を無視する行為に及べば、これを批判して「規範に即した国際秩序」を守っていくために声を高めてきた。今の国際秩序で平和と繁栄を享受してきたオーストラリアは現状を変更しようとする勢力の狙いを遮断することが国益に符合すると考えるためだ。
そしてオーストラリアはこのような国際秩序を維持していく努力を一人でするよりは他の中堅国と連携するほうが望ましいと考えた。そのため力を合わせる対象国として、日本・インド・韓国・インドネシア4カ国を2017年外交白書に摘示した。その後、韓国との協力が期待に沿えなかったためかオーストラリアはベトナムを戦略的協力対象国に追加して関係を強化している。オーストラリアとベトナムは2013年習近平国家主席就任以降、中国が攻勢的対外政策を展開すると警戒心を高めて、中国からもたらされる危険を減らすために「カウンターバランシング(Counter-balancing、釣り合いを取る)政策」で対応している。
オーストラリアは先進国のうちで中国に対する経済依存度が最も高い。このため中国は西側諸国のうちオーストラリアを一番の弱点だと考えてしばらく多角的に力を入れていた。しかし最近のオーストラリアの反中国的外交は中国の目には棘と見なすほかなくなった。このためオーストラリアに対する中国の経済報復は予想された手順だった。昨年から中国は石炭・牛肉・ワインなどの輸入を制限して関連分野のオーストラリア産業界が大きな被害を受けている。
しかし逆説的に国際鉄鉱石価格が急騰したことに伴いオーストラリアの対中輸出総額はむしろ増えた。そのうえ石炭不足により深刻な電力難を強いられている中国は最近オーストラリア産石炭輸入の再開を結局許容した。中国が自分の足の甲を自ら踏んだ格好になった。幸いオーストラリアは中国が必要とする原材料を保有して中国の圧力に耐える余裕があったことになる。
このような状況の中でオーストラリアは最近、米英とオーカス同盟を締結することによって中国にさらなる一撃を加えた。第2次世界大戦以降、米国中心主義の時代に米国は「ハブ・アンド・スポーク体制(Hub & Spokes System)」という二国間同盟を構築してきたが、オーカス同盟は過去にはあまり見られなかった3国同盟体制なので目を引く。外交史を振り返ってみると3国同盟が登場する時点には国際情勢が不安で戦争の影がちらついていたことから、そのような側面で懸念が先立つ。そしてこの同盟に参加した3国はすべてアングロサクソン国家であり海洋国家だ。アイデンティティがほぼ同じ3カ国が一つになるということは本当に信頼性のある国だけで手を握る流れが優勢なことを予告する。
オーカス同盟が締結される過程でフランス外務省長官は「3国が背中に短刀をさした」という表現を動員するほど交渉が秘密裏に進行された。過去、国際情勢が大きく揺れ動いたときにこのような秘密外交が横行したが、オーカスを契機に今後このような秘密外交が加速するのではないかという不吉な予感がよぎる。また、国家関係において規範と信義が重要視されなくなる冷酷な現実主義時代が近づいているという事実をこの同盟の出現は示唆している。
オーカス同盟の発足でフランスは約74兆ウォン(約7兆1500億円)に達する潜水艦事業から手を切らなければならない状況だ。オーストラリアとの契約を信じていたフランスは大きな不覚を取ったといえる。米国も核不拡散を不可侵の原則のように掲げていたのに自国利益の前に軽々と捨て去った。国益のためには新たな同盟に果敢に参加して既存の友好国との信義も破る冷厳な現実主義路線をオーストラリアが選んだといえる。
「政治の難しさは自分が見たくないところを絶えず見続けることにある」とフランス政治思想家ピエール・マナン(Pierre Manent)は説明した。自分が見たいものだけを見てそのように実現していくことを期待するのは国際情勢の大転換時期においては純真というよりは危険だ。現実を直視して他の国の動向を注視してこそ自分たちが進んでいく道を切り開いていくことができる。