<サッカー>ザックジャパン無敗どこまで? 口癖はバランス
毎日新聞 10月7日(金)10時47分配信
拡大写真
サッカーの男子日本代表は、イタリア人のアルベルト・ザッケローニ監督(58)が初めて指揮を執った昨年10月以降、7勝6分け(PK勝ち1は引き分け扱い)と無敗を続けている。13戦連続負けなしは歴代の代表監督で最長記録。日本は強くなったのか。【江連能弘】
指標となる国際サッカー連盟(FIFA)ランキングは昨年6月のワールドカップ(W杯)開幕時は45位だったが、W杯で16強入りし、大会後は32位へと浮上した。
岡田武史監督が退任後、原博実監督代行の2試合(2勝)を挟み、ザッケローニ監督は初陣となった昨年10月8日、強豪アルゼンチンを1-0で破って快進撃を開始。今年1月にはアジアカップを制し、8月の親善試合ではライバル韓国に3-0で快勝した。ランクは一時、13位まで上がり、現在は15位。岡田前監督は「1年前から、かなりレベルアップしたと感じている」と話す。
たった1年で選手が急激にうまくなったわけではない。岡田前監督はW杯で守備を重視したが、ザッケローニ監督は常々「日本人は素晴らしい技術を持っている」と話し、伸び伸びと攻めさせる。より攻撃的なスタイルに変化したことが、強さを感じさせる一因だ。
もちろん、堅守が伝統のイタリア出身とあって守備面の指導は緻密で、細かくポジションを指示し、体の向きにまでこだわる。その上で、常に攻撃を意識している点が特徴的だ。口癖は「バランス」。ボールを奪った後、横パスではなく、ゴールを狙う縦に速い動きを意識させ、そうしたプレーが増えてきた。
選手を尊重する姿勢もある。自ら選手に歩み寄って話を聞き出すなど、選手が力を出しやすい雰囲気を作っている。これまで抑圧されていた感のある攻撃力が解放されているのは、そのためだ。
イタリアでは、ACミラン、インテル・ミラノ、ユベントスと3大クラブの監督を歴任した。独特の個性を持つ大物選手と接してきただけに、選手とのコミュニケーションはお手の物。ライバル同士のクラブを渡り歩けたのはクセのない人柄の証拠でもある。
試合展開では、13試合のうち4試合で相手に先制を許したが、いずれも追いつくか逆転して負けていない。終盤の劇的なゴールも多い。ザッケローニ監督が最大の成果を「自信がついてきたこと」と表現するように、劣勢をはね返す地力もついてきた。特に、W杯を経験した選手の多くが欧州のクラブに渡り、世界トップレベルの選手と顔を合わせているのも自信につながっているようだ。
トルシエ監督は「規律」、ジーコ監督は「自由」、オシム監督には「考えて走る」といったキーワードがあった。岡田監督は球際の厳しさや運動量など戦う上での「本質」を追求した。ザッケローニ監督は決して特異なことはしない。これまでの遺産を束ね、進むべき道筋を定石通りに「バランス」良く整理して方向付けし、好循環をもたらしている。
過去の無敗記録は12試合で、01年にトルシエ監督はフランスに0-5で敗れ、04年のジーコ監督はアルゼンチンに1-2で敗れて記録が途絶えた。
日本代表は7日午後7時45分からベトナムと親善試合(神戸)を行い、11日にW杯アジア3次予選のタジキスタン戦(大阪・長居)に臨む。「我々の目標は(無敗)記録を伸ばすことではなく、成長すること」と話すザッケローニ監督の手腕が注目される。