日本財団などが自動運航日本財団などが自動運航のコンテナ船 「レベル4」、商用貨物で世界初
自動運航システムが他船や障害物を避けるルートを割り出す
日本財団などは30日、神戸港で内航貨物船の商用自動運航を始めた。神戸と静岡、東京などを結ぶ航路でコンテナを運ぶ。船員不足への対応や航海の安全性を高めることがねらい。貨物航路における商用レベルの自動運航は世界初だという。
自動運航を始めるのは2025年秋に完成したコンテナ船「げんぶ」で、コンテナ積載数は約700TEU(TEUは20フィートコンテナ換算)。船舶管理会社のイコーズ(山口県周南市)が管理を担い、すでに鈴与海運(静岡市)が通常運航でコンテナを運んでいる。
「げんぶ」は自動運航を目的として設計されており、エンジンも遠隔で監視できる。28日に国土交通省による自動運航船の検査に合格した。30日は神戸ポートターミナル(神戸市)の岸壁に自動運航システムを使って接岸した。
今回の技術は自動車でいえば一定の条件下で完全自動運転ができる「レベル4」に相当する。通常は船長が操縦するが、システムが導き出したルートに問題がないと判断すれば自動運航に切り替える。
「げんぶ」は自動運航システムを使って岸壁に接岸した(30日、神戸市中央区)
日本財団は20年に自動運航船で人や物資を運ぶことを目指すプロジェクトを立ち上げた。造船会社や海運会社、機器メーカーなど53社が参画している。古野電気をはじめとする関西の企業もシステム開発などで関わっている。
全国の4隻で自動運航の実験を続けている。その1隻である国際両備フェリー(岡山市)の「おりんぴあどりーむせと」がまず、自動運航可能な定期旅客船となった。25年12月から商用運航している。商用の運航船としては「げんぶ」は2隻目。貨物としては世界初の船となる。
海上保安庁によると、20年に起きた船舶事故の8割が「見張り不十分」「不適切な操船」といった人的要因によるものとなっている。自動運航ではセンサーで状況を認識する。人を介さずに他船や障害物を避けるルートを計画し、自動で船を動かすという。
日本財団の海野光行常務理事は30日の記者会見で「内航貨物船の船員は50代以上が過半数を占めている。運航の自動化は(船員の不足、高齢化など)課題の解決につながる」と話した。
「げんぶ」を運航する鈴与海運は今後、神戸や大阪、名古屋、静岡・清水、横浜、東京を結ぶ航路でホンダの二輪車などをコンテナで運ぶ。ホンダの大沢裕一・生販物流・間接材統括部長は「今回の『げんぶ』就航は国内物流が次の段階に進む一つの具体例となる」と期待感を示した。

