【萬物相】偏見の残忍さ
毒舌で知られた英国の劇作家ジョージ・バーナード・ショーが、ロダンの作品を無条件に嫌っていた人たちを招待した。そして、1枚のデッサンを見せ「少し前に入手したロダンの作品だ」と紹介した。すると、招かれた人たちはデッサンが取るに足らないものだと主張し、口論を繰り広げた。その様子を見守っていたショーがこう言った。「実はこれはロダンではなく、ミケランジェロの作品だが」。人々は皆、このように偏見に満ちた目で世の中を見ているのだ。
英国のエッセイスト、エルプリド・G・ガーディナーが、帽子を修理するため帽子屋を訪れた。帽子屋の主人は常連の弁護士や船長を例に挙げ「頭の周りが7インチ以上の人は地位が高い」と話した。頭の大きさが7インチに満たないガーディナーは突然、地位の低い人間になってしまった。後に、ガーディナーは随筆『帽子哲学』にこうつづっている。「われわれは隣人を、自分自身の物差しで測り、自分のグループの計算法で計算する。自分の目で見える部分だけを見て、その人のありのままを見ようとしない」
昨年11月、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長が道路を掃除する写真が、あるポータルサイトで社会分野の「ネチズン(インターネットユーザー)関心ニュース」のトップになった。寄せられたコメントも「選挙で当選した後も、このような行動をする人は初めて見た」と称賛する声が多かった。同じく、呉世勲(オ・セフン)前市長も在任中、漢江のゴミを片付けたり、道路の掃除をした。しかし「関心ニュース」の10位にも入らず、寄せられたコメントも「笑える」といった類いのものだった。あるブロガーは「ネットユーザーは扇動されずに手助けしたいと願っている」という見方を示した。
自分たちが帰属する集団には好意的な態度を取り、それ以外の集団には差別的な態度を取る心理現象を、社会心理学では「内集団バイアス」と呼ぶ。脱北者の強制送還に反対し、在韓中国大使館の前でハンガーストライキ(ハンスト)を11日にわたって決行した自由先進党の朴宣映(パク・ソンヨン)議員が今月2日に倒れた。朴議員が病院に運ばれる様子を撮影した写真がメディアに掲載されると、左寄りのネットユーザーたちからは、朴議員をからかうコメントが相次いだ。「ただのショーだ」「党の公認を得るための作戦だ」「顔面の筋肉を見ると、気絶したようには見えない」「鼻はどこの病院で手術したのか」というものだ。
左派は普段から人権を口にしながら、北朝鮮の人権問題には口を閉ざす。脱北者の女性として初めて博士の学位を取得した、北朝鮮伝統飲食文化研究院のイ・エラン院長もハンストを行い、左派が沈黙する状況に怒りをあらわにした。「同じ民族の苦痛に対し、これほどまでに無関心でいられるのは不思議でならない。北朝鮮の住民たちの命は千聖山(慶尚南道梁山市)のサンショウウオよりも価値が低いのかと思うと涙が出てくる」と語った。たとえけんかをしても、相手が不幸に見舞われたときには言葉を慎むのが人間の道理というものだ。相手をねぎらうどころか、悪口を浴びせるとは。理性を失った偏見ほど残忍なものはない。