JAXAが化け物のようなエンジンを研究開発中
予冷ターボエンジンをご存じだろうか?簡単に言ってしまえばターボジェットエンジンのオバケである。従来のジェットエンジンでは速度が速くなるほど取り込む空気が高温となり、あまりに早く飛ぶと圧縮機やタービンが高温に耐えきれず破壊されてしまう。この問題を予冷ターボエンジンは-250℃の液体水素により取り込んだ空気を冷却しエンジンの過熱を防ぐことにより解決し、従来のジェットエンジンの技術を使いながら限界速度マッハ6という驚異的な速度を出すことを可能にした。これは世界最速と言われた超音速偵察機SR-71ブラックバードの約二倍の速度である。予冷ターボエンジンは今月一日に小型用の実験用エンジンの燃焼実験を成功させ実用化への一歩を踏み出した。しかし、もっとも注目すべきはこのエンジンによってスクラムジェットエンジンの可動域まで加速することが可能となった点だ。スクラムジェットエンジンは空気を圧縮機に頼らず高速で吸気口に入ってくるときの動圧(ラム圧)で圧縮し燃焼させる非常にシンプルかつ強力なエンジンであり論理上マッハ4~15までの非常に広い可動域を誇る。実際にこれを搭載したNASAの無人実験機、X-43が2004年11月14日に行われた実験でマッハ9.8という記録をたたき出し、現在世界最速の航空機として名を残している。ただ、使用するにはマッハ4まで加速させる必要があり単体での使用は不可能である。その為X-43はペガサスロケットによりM4まで加速させた後でエンジンに点火するという方法をとった。今回の予冷ターボエンジン一は実用化されればロケットエンジン以外でスクラムジェットエンジンの可動域まで加速できる初のエンジンとなる。

スクラムジェットエンジン:使用可能速度域M4~15 画像はウィキペディアより掲載
すなわち予冷ターボエンジンとスクラムジェットエンジンを併用することによって、最高でマッハ0~15までの速度域をカバーする極超音速航空機を実現させることが可能となる。この超音速航空機はJAXAが計画中のスペースプレーンの運用航空機として使用される見込みである。このスペースプレーンはスケールド・コンポジッツ社のスペースシップワンのように大気圏内で運用航空機によってある程度の高度と速度を得た後運用航空機から切り離されロケットエンジンによって大気圏外へと脱出するという再利用性の高いものとなる。どうやら、私が思っていたよりも早くスペースプレーンや超音速旅客機が実用化される日が近づいているようだ。