首相「北朝鮮には何度も裏切られてきた」 ケリー氏にくぎ刺す
2013.4.16 00:56 (1/2ページ)[安倍首相]
ケリー米国務長官(左)と会談を終えた安倍首相=15日午前、首相官邸
「2人だけで話をさせてもらえませんか?」
安倍晋三首相は15日、ケリー米国務長官との約1時間の会談が終わりにさしかかると突然、こう切り出し、会談に同席していた岸田文雄外相やルース駐日米大使に退席を促した。
首相とケリー氏の2人だけの会談は「予定にはなかった」(政府関係者)ハプニングだ。通訳だけを介した約7分間のやり取りで、2人がどんな会話を交わしたのかは不明だ。
しかし、2人きりになる前、首相がケリー氏に投げかけた次の言葉に謎を解くヒントが隠されている。
「北朝鮮は3代にわたり瀬戸際外交を繰り返してきた。『対話』というが何度も裏切られてきている。北朝鮮は危機を醸成してあるものを与えろ、というやり方だ。そのことを忘れないでください」
会談でケリー氏は「韓国、中国は北朝鮮の非核化を目指すという。関係国との協力で目的を実現したい」と述べていた。
対中融和派と目されるケリー氏の動きによっては、米国が北朝鮮との対話路線に急転回することもありうる-。こんな疑念を抱き、それを払拭するために、首相は7分間の会話で、ケリー氏にクギを刺そうとしたのではないか。
そもそも、今回のケリー氏のアジア初歴訪の事前調整でも、首相はある仕掛けを施していた。
「来日は一番後回しで構わない」。日本側が米側にこんな提案を持ちかけたのが、ケリー氏のアジア歴訪の直前。中国から「最初の訪問国」に選ぶよう 要請を受けていた米側は「本当に最後でいいのか」と念押ししたが、日本は「最後でいい。その代わり、訪韓と訪中の話をしっかりと教えてほしい」と回答した という。最終的に歴訪は韓国、中国、日本の順になった。日本は「メンツ」より、北朝鮮をめぐる米国の考えを知る「実利」を重視した。
首相 には苦い経験がある。前回首相を務めていた平成19年6月、米国のヒル国務次官補(当時)が電撃訪朝。その後、米国は6カ国協議という舞台をテコに北朝鮮 との対話路線に舵(かじ)を切ったが、今に至るまで北朝鮮の核・ミサイル開発の野望を食い止めることができないでいる。
菅義偉官房長官は15日の記者会見で「北朝鮮がミサイル発射をやめ、非核化に動き始めることが(対話の)前提条件だ」と強調した。これが、過去の教訓に基づく日本政府の揺るぎない方針だ。
一方で、韓国政府が対話を呼びかける姿勢に転換し、米国がこれを歓迎するという現状を踏まえ、菅氏は「非核化に向けて動き始めるのであれば、日本も対話の窓は閉ざすことはない」とも述べた。
挑発行為を容認しないという日本政府の基本姿勢を強調しつつ、米中韓の思惑と北朝鮮の出方によっては対話に応じる可能性をにじませるギリギリの表現だ。
日本政府は北朝鮮に圧力をかけつつ、米国、中国、韓国の意図を慎重に見極めようとしている。(杉本康士)
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