【最新国防ファイル】空中給油・輸送機KC-767 空の守り高める最新鋭 戦闘機をサポート (1/2ページ)
2016.07.01

KC-767(中央)から空中給油を受ける、F-15戦闘機(上)と、F-2戦闘機【拡大】
基地を飛び立った航空機は、いつかは燃料が尽きる。そうなる前に基地に戻り、給油しなくてはならない。その手間をなくし、そのまま上空で給油できるようにしたのが空中給油機だ。
戦闘機は基本的に連続1、2時間程度しか飛行できない。だが、空中給油機があれば、領空内の長時間パトロールが可能となり、警戒監視能力は格段に向上する。有事であれば、すぐに戦闘に戻ることができる。
主要国空軍で空中給油機は必須の装備である。ただ、日本では長らく、戦闘機の海外への展開能力を高めることにもつながるという理由から、配備は見送られてきた。
しかし、「限られた機数で日本の空を守るためには必要不可欠」との判断が下り、2003年3月に4機の購入を決めた。ライセンス生産ではなく、完成品を購入することになった。
航空自衛隊が選んだのは、旅客機としても知られるボーイング767-200ERをベースにしたKC-767だ。早期警戒管制機AWACSとして767ベースのE-767を配備しており、教育や整備などの運用効率を考えたのであろう。
最新式の機体だが、米空軍は採用しておらず、同機を配備するのは日本とイタリアだけだ。
当初、07年春に配備予定だったが、手続きなどに時間がかかり、08年2月から配備された。第404飛行隊が新設され、空自初の空中給油機部隊として小牧
基地(愛知県小牧市)に置かれた。通常は4~8人が搭乗する。コックピットに3、4人。その他は空中給油作業に関わる。
米空軍が配備する空中給油機KC-10は、ブーマーと呼ばれる隊員が目視で確認しながら戦闘機とブーム(=給油管)をドッキングさせる。機体の真後ろに窓があり、隊員が床にうつぶせとなってブームを操作する。
これに対し、KC-767は、機体下部にある5台のカメラがとらえた映像を見ながら操作する、世界初の遠隔視認装置を採用した。
輸送能力も高く、広いカーゴスペースや機内には、30トンの資器材や物資、200人の人員を搭載できる。東日本大震災や、フィリピンへの災害派遣では、救援物資輸送に使用された。
防衛省では当初、8~15機程度必要だと試算していた。しかし、次期主力輸送機C-2へ予算が回されたため、4機以降の計画はいったん白紙になった。
だが、中国機によるスクランブルの増加を受け、領空内パトロールを効果的に行うため、15年9月、767をベースとしたKC-46ペガサスを新たに3機購入することを決めた。
今年度には、早速1機分の購入費などとして、231億円が計上されている。配備は20年を予定している。
■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。陸海空自衛隊だけでなく、各国の軍事情勢を取材する。著書に『こんなにスゴイ! 自衛隊の新世代兵器』(竹書房)、『ビジュアルで分かる 自衛隊用語辞典』(双葉社)など。
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