加計学園問題 「特区指定」の説明を丁寧に
2017年05月27日 06時00分前次官が在職中の政策決定を公然と批判する。異例の事態である。政府には、疑念を払拭ふっしょくする努力が求められよう。
学校法人「加計学園」が愛媛県今治市に大学の獣医学部を新設する計画を巡って、前川喜平・前文部科学次官が記者会見し、早期の学部開設は「総理の意向」と記した文書について「確実に存在していた」と明言した。
内閣府との協議を踏まえ、文科省の担当課が作成したという。
疑問なのは、前川氏が国家戦略特区による獣医学部新設を「極めて薄弱な根拠の下で規制緩和が行われた」と批判したことだ。
獣医師の需給見通しなどが十分に示されないまま内閣府に押し切られたとして、「行政のあり方がゆがめられた」とまで語った。これが事実なら、なぜ現役時代に声を上げなかったのか。
規制改革を主導する内閣府と、業界保護の立場から規制の例外を認めたくない関係省庁が対立することは、ままある。問題は行政手続きの適正性であり、菅官房長官は「国家戦略特区法に基づく手続きを経た」と強調している。
与党は、野党による前川氏の証人喚問要求を拒んでいる。政府は文書の存在を否定し、文科省の再調査も必要ないとしているが、その主張はやや強引ではないか。
野党は、安倍首相が長年の友人の加計学園理事長に利益誘導したのではないか、と追及する。官僚が忖度そんたくした可能性も指摘する。
首相は、「学園からの依頼は一切ない」と述べ、加計学園の特別扱いはなかったと言明している。内閣府も、「総理の意向」との発言や、首相の指示を否定する。
政府は、特区を指定した経緯や意義について、より丁寧かつ踏み込んだ説明をすべきだろう。
今治市は2007年以来、特区指定申請を15回も却下された。民主党政権下の10年に「対応不可」から「実現に向けて検討」に格上げされ、16年に認められた。
獣医学部は1966年を最後に新設が認められていない。獣医師の過剰を防ぐためだが、専門分野や地域で偏りがあり、開設を求める声も根強い。まず特区に限定した規制緩和は理解できよう。
規制緩和は安倍政権の重要政策であり、仮に首相が緩和の加速を指示しても問題はあるまい。
野党は、首相の交友関係に焦点を当て、学校法人「森友学園」問題と関連づけている。しかし、獣医学部誘致は今治市が中心になって長年取り組んできた懸案だ。同列に論じるのは無理があろう。
2017年05月27日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun>http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20170526-OYT1T50192.html
昨日の社説記事で、民主党政権時代の様々な関係情報も含まれていて、比較的バランス良い感じなので、
備忘録的に。