【コラム】韓国経済、米国の「インド・太平洋戦略」に活路を見出せ
ソウル大の李正東(イ・ジョンドン)教授(産業工学)が指摘した通り、中国は「空間の力」で蓄積の時間を圧縮している。高速鉄道の導入から10年しかたたないが、既に中国製の高速鉄道は102カ国への輸出契約を結んだ。その能力はわずか10年間で総延長1万9000キロメートルを超える高速鉄道を敷設した実践経験から生まれる。李教授は「中国製造業の競争力の源泉は広い内需市場、すなわち空間の力で試行錯誤を短期に蓄積し、概念構築の能力を育成するのに必要な時間を圧縮できるところにある」と指摘した。そんな中国は最近、米シリコンバレーのど真ん中で中国製の32層3DNAND型フラッシュメモリーを披露した。
半導体を年間2600億ドル規模で輸入する中国が半導体産業まで圧縮成長を実現し、国産に転換すれば、韓国はどうなるだろうか。恐怖感さえ覚える。既に韓国は巨大な内需市場を基盤に第4次産業革命を先導している。昨年世界の特許出願企業上位10社には、中国企業が3社入った。煙突産業ではなく、スマートフォンの華為(ファーウェイ)が1位)、通信設備の中興通訊(ZTE)が2位、ディスプレーの京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)が7位で、いずれもIT企業だ。
中国の技術力追い上げに驚いた米国は「貿易戦争」のカードを切った。自由貿易の守護者を自称してきた米国のメンツを捨てた選択だったが、そこには「中国の急浮上をこれ以上傍観できない」という切迫感がある。貿易戦争を指揮するナバロ米国家通商会議(NTC)委員長は反中派として知られる。ナバロ委員長はカリフォルニア州立大教授時代に書いた著書「米中もし戦わば」で「中国があらゆる反則を使った末、米国を追い抜く寸前にある」とし、「貿易報復が最善の解決法だ」と主張した。そして、「米国が同盟国と共に取るべき明確な政策方向は、中国製品への依存度を引き下げることだ」と指摘した。貿易バランスの再調整を通じ、米国と同盟国が国力を高めるための成長動力と生産基盤を取り戻すべきだとの論理だ。
今回の貿易戦争ではまず、米国が勝機をつかんだように見える。米国は中国製品に対する報復関税のカードはまだまだあるが、中国は打つ手がなくなった。中国は人民元切り下げで対抗しようとしたが、急激な資本流出を招きかねず、ジレンマに陥っている。中国政府内部からは、韜光養晦(とうこうようかい=自らの力を隠し蓄える)、有所作為(落ち着いて対処し、できることをやれ)といった対外戦略をみだりに転換したことが禍根になったとの反省の声も漏れる。
しかし、中国の技術力向上は既に拡大再生産の軌道に入っている。今回の貿易戦争で米国が勝利したとしても、追い上げが遅れるだけであって、中国の勢いを完全に抑え込むことは難しそうだ。米国は世界の秩序を中国中心に再編しようという「一帯一路」戦略に対抗し、「インド・太平洋戦略」ベルトの構築に乗り出している。日本、オーストラリア、インドと組み、安全保障、経済の第一線で中国を本格的にけん制する構想だ。
中国にほぼ全ての主力産業で追い付かれた韓国経済は、米国の新たな戦略構想に乗り、米国・インド中心のグローバル分業体制で新たな活路を見いだすべきではなかろうか。例えば、米国の原子力産業と韓国が手を結べば、原子力大国に浮上しつつある中国を効果的にけん制できる。現代自動車などの製造業は、ハイニックス(韓国)-東芝(日本)の提携モデルをインドでも実現し、中国との競争構造を固めることができるだろう。政策当局者と企業は「G2(二大国)産業覇権」の戦場で選択肢を考えなければならない時期に来ている。