在韓米軍の一部撤収説、もし現実になったら影響は深刻
韓米防衛費分担金交渉と関連して米国内部から出てくる「在韓米軍一部撤収説」は、交渉力を高めるための圧迫用である可能性が高い。
だが、もし現実になった場合、韓半島(朝鮮半島)の安全保障に大変な影響を与えることは避けられない。在韓米軍を削減する場合、撤収の可能性が真っ先に挙げられる部隊は、在韓米軍第2師団の1旅団(別名Iron Brigade)だ。同旅団はローテーション配備部隊で、今年7月に米本土へ戻った後、交代の新しい部隊を充当しないという形で在韓米軍削減が行われることもあり得るのだ。
米国では、この旅団について直接言及はしないものの、ドナルド・トランプ大統領が米軍の一部を撤収するだろうという主張が絶えず提起されてきた。ジョン・ケリー前大統領首席補佐官は、最近メディアのインタビューにて「トランプ大統領の在韓米軍撤収論を押し止めた」と語り、在韓米軍撤収に反対していたジェームズ・マティス国防長官はポストから退いた。
韓国軍関係者は「昨年末以降、旅団撤収説が一部で持ち上がり、鋭意注視している。防衛費分担金などに対する交渉用の可能性がある」と語った。
米第2師団の1個旅団は現在、韓半島(朝鮮半島)内に駐留する唯一の米地上軍歩兵戦力だ。同部隊が米本土に戻った後、新たに交代の部隊が充当されなければ、韓半島から米地上軍(歩兵部隊)が事実上消えることを意味する。現在の韓国軍の作戦計画では、米第2師団の1個旅団が、戦時の北朝鮮による攻勢への防御はもちろん、反撃の先鋒部隊にもなっているといわれる。この部隊がいなくなると、たちまち韓国軍の作戦計画に支障が生じることは避けられない。
米第2師団の1個旅団は、元々は韓半島に固定配備される「張りつけ部隊」だったが、2015年6月に米陸軍が45個ある旅団戦闘団を32個に削減した際、米本土に駐留する複数の部隊が9カ月おきに交代で配備に就く「ローテーション配備部隊」に変わった。戦車・装甲車などはそのまま韓半島に置いておき、兵員だけが交代するという形だが、昨年には戦車などが新型のものに変わった。旅団の兵力はおよそ4500人で、現在はM2A3ブラッドレー装甲車を運用する第9歩兵連隊第2大隊、最新型のM1A2SEPエイブラムス戦車で武装した第72機甲連隊第1大隊、M1151/M3A3装甲車で機甲偵察任務を遂行する第7騎兵連隊第4大隊、M109A6パラディン自走砲を装備する第15野戦砲兵連隊第1大隊、化学中隊などの部隊で編成されている。
韓国軍の関係者は「韓国に駐屯する米軍の中でも、有事の際に前線で血を流して直接戦う、中心的な部隊が撤収するという意味」と語った。現在の在韓米軍は2万8500人の水準だが、ローテーション配備の1個旅団を米本土に戻して韓国に復帰させなければ、兵力が2万4000人台に減るという効果もある。
韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ事務局長は「米軍が戻らないということは、韓国軍の作戦計画に全体的な変更があることを意味する。当面の安全保障上の空白が心配」「米軍4500人は小さな数字という意見もあり得るが、戦力の上では韓国軍とは比較にならないレベル。韓米連合作戦計画にも支障が生じるものとみられる」と語った。
韓国国防部(省に相当)の関係者は、「在韓米軍の駐屯は、単なる安全保障的な側面を超えて韓国経済にも影響を及ぼしかねない。わけても1個旅団が戻ってこない場合、地上軍が全面撤収するかのような印象を与え、経済的にとって相当な不安要素になりかねない」と語った。
ある国策研究所の関係者は「トランプ大統領の考えとは別に、韓米同盟が堅固であれば、前線歩兵部隊の削減はあり得ないだろう。このところのぎくしゃくした韓米関係が、在韓米軍削減という結果につながるのではと懸念される」と語った。