ムン・ジェイン政権、総選挙圧勝でついに念願の「財閥解体」に手を伸ばすか? 地獄への一本道に見えるけど……
〈韓国どこへ 圧勝・文政権〉(上) 経済再建、「反財閥」の壁(日経新聞)
巨大与党背負った文在寅政権、これからは経済立法? 支配構造改革押し進めるか(中央日報)
韓国政府は3月24日、官民共同で総額100兆ウォンの金融支援をすると発表した。2008年のリーマン・ショック時の2倍の規模だ。個人事業主や企業を幅広く対象に含む。ただ、大企業の資金供給は「自助努力が前提」だと殷成洙(ウン・ソンス)金融委員会委員長はクギを刺す。
支援に条件をつけるのは、それだけ体力があるとの判断からだ。だが、革新派に根強い反企業感情も背景になっているとの指摘がある。共に民主党の選挙公約には財閥の経営監視を強化するメニューが並んだ。「大企業支援には市民団体などの抵抗が予想され、政府は消極的にならざるをえない」と、ある官僚OBは文政権のジレンマを解説する。
産業界は不安を募らせる。大企業を支援するハードルが高すぎたり、支援決定に時間がかかりすぎたりすれば、助かる企業も助からなくなる。
大企業が資金繰りに窮する事態は既に現実となっている。政府系の韓国産業銀行は「野戦病院」の様相だ。
代表例が重電大手の斗山重工業だ。文氏が17年の大統領就任早々に打ち出した「脱原発」政策で原発の新規受注が蒸発した。世界的な化石燃料離れで火力発電所の設備受注も先細りした。そこに新型コロナが追い打ちをかけて資金繰りが悪化。産業銀行、輸出入銀行などから3月下旬、1兆ウォンの緊急融資を受けた。 (中略)
産業銀行は経営不振企業の破綻処理や再建の役割を担う。2月には格安航空会社(LCC)6社への緊急融資を決めた。支援要請がさらに増えるのは必至で、孤軍奮闘では乗り切れない。
韓国は1997年の通貨危機で大企業が連鎖倒産し、一時はマイナス成長に陥ったが、当時の金大中政権が産業・金融一体となった再編を主導して短期で克服した。いまは「政府のリーダーシップがみえない」と金融関係者は漏らす。 (中略)
「世界のコロナ感染が落ち着き、下半期から経済活動が改善すれば20年はプラス成長になるのではないか」。韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は9日、こう展望した。ただ、国際通貨基金(IMF)の予測はマイナス1.2%と厳しい。マイナスは98年以来、初めてだ。
(引用ここまで)
文在寅政権が発足直後に推進した所得主導成長が社会的激論の対象となり他の経済分野の課題が動力を得られなかった側面もある。その上で文大統領が大統領候補時代から強調した財閥改革などには事実上手も付けられなかった。
このため文在寅政権は第21代国会が始まれば経済関連立法にさらに力を入れるだろうとの見通しが出ている。文大統領は特に公正経済課題を強調した。国政課題集には大企業と中小企業間の構造的な力の不均衡を是正したり、不公正な取引慣行を改善し中小企業・小商工人の成長基盤を用意するという内容などが盛り込まれた。だが不公正な商慣行を改善するための加盟取引法と代理店法は与野党間に溝があり依然として常任委員会に係留された状態だ。
財閥改革の一環で企業支配構造改編も政府・与党が関心を持っている課題だ。20代国会では企業支配構造改善に向けた商法と財閥オーナー一家が便法的に支配力を強化するのを防ぐための公正取引法が発議されたが処理できなかった。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルは16日、「韓国民主党の歴史的な選挙勝利で数十年間大企業を支配し家族経営の鎖を断ち切る機会が開かれた」と予想する。
(引用ここまで)
現在、大統領府政策室長はキム・サンジョという人物です。
前公正取引委員長。
別名、財閥スナイパー。楽韓Webでは「財閥絶対殺すマン」として命名しています。
彼が公正取引委員長に抜擢された時点で「ああ、財閥をやる気だな」と理解できる人事だったのですが、それがいまや大統領府政策室長。
大統領府政策室長は韓国政府の経済・社会政策を取り仕切る位置にあります。
え、企画財政部がやるんじゃないかって?
まあ、名目上はそうなのですが。
外交を外交部がやっていないのと同じく、企画財政部もお飾り的なものとなっています。
以前も語ったようにノ・ムヒョン政権が官僚に取り込まれて当初の目標だった改革を潰されたのを目の当たりにしていたこともあり、ムン・ジェインは官僚を一切信用していません。
その結果、外交部からは慰安婦合意を結ぶために働いていたジャパンスクールは追放され、アメリカとのコネクションも極薄に。
実際の外交政策は大統領秘書室長や国家安保室が主導しています。
それと同様に経済・社会政策は大統領府政策室長が行っているのですね。
ムン・ジェイン大統領の主たる経済政策である「所得主導成長」を提唱していたのは現在は駐中韓国大使であるチャン・ハソン大統領府政策室長(当時)。
企画財政部長官はその青写真に従って動くのが主たる仕事です。
ちなみにチャン・ハソンは一昨年の退任直前に「来年の終わり頃には所得主導成長の効果が出る」と予言して去って行きました。まあ、実際にどうなったかはご覧の通り。
さて、本来4年目ともなれば韓国の大統領はレイムダックと化してなにもできなくなるのですが、180議席という民主化以来最大議席を獲得し、国会先進化法すら無視できるようになってしまいました。
支持率も高く、完全と言っていいフリーハンドを与えられている状況。
間違いなく財閥解体をやるでしょうね。
財閥解体をやってしまえば、それでなくても所得主導成長とコロナ禍で打撃を受けている韓国経済はとんでもないことになると思うのですが……。
それでも千載一遇のチャンスとばかりにやるでしょう。やらざるを得ない。
なにしろ、キム・サンジョは「私人の立場」としてサムスン電子副会長のイ・ジェヨンの公判に出席するほどに財閥叩きを行っている人物。
この人物が政策室長である以上、確実にやります。そのための人事だったのですからね。