10/7(金) 7:03配信 現代ビジネス
米中央銀行・連邦準備制度(FED)の急激な利上げの影響で、株式市場や為替市場など、韓国の金融市場が大きく動揺する中、住宅ローン金利の上昇が韓国経済の雷管として浮上している。
高騰したマンション価格が下落基調に
文在寅(ムン・ジェイン)政権の5年間、暴騰を続けた韓国の住宅市場は多くの流行語を生み出した。
韓国人の間で圧倒的な人気を誇る「マンション」という高級共同住宅は毎日新高値を更新するほどの値上がりを記録し、ソウル所在のマンション価格に関してはちょうど2倍になったという統計もある。
これだけ暴騰すれば、マンション所有者と、無住宅者や非マンション住居者との資産格差は大きく広がってしまった。なにせ韓国人の保有資産の80~90%が住宅などの不動産というほど、韓国人にとっては「住宅=資産」であり、所有している住宅価格が上がればそれだけ金持ちになり、そうでない人は相対的に貧しくなってしまうのだ。
このように住宅格差が拡大したせいで、「にわか乞食」という流行語が誕生した。これは「成金」の反対で、ある日突然貧乏になってしまったという意味だが、マンション価格の暴騰を側で見ている無住宅者や非マンション住居者の相対的な貧困を自虐的に表現した流行り言葉である。
一方で、多くの韓国人は「にわか乞食」から脱出するために、魂までかき集めるような勢いで無理な貸し出しを受けマンションを購入するという危険な手段を選択した。こうした巨額の住宅ローンを受けてマンションを購入する人たちは「魂集(ヨンクル)族」と呼ばれた。
実際、文在寅政権に入ってから売買されたマンションの3割以上、特にソウル所在マンションの4割以上が20代30代の若いヨンクル族による売買だったという。
ヨンクル族は、今後はマンション価格がさらに上がってしまうという恐怖心に駆られ、自身の資産状況やマンションの立地条件などを深く考慮せずに無条件に購入する「パニック・バイイング」現象を起こし、文政権末期にはソウルや首都圏だけではなく、地方のマンション価格も天井知らずの急騰を見せた。

ところが、新型コロナパンデミックの終わりが見え始めた中、アメリカを筆頭に世界中の国々が金融引き締めに動き流動性を激減させている。韓国中央銀行も政策金利を引き上げ、マンション価格は下落基調に転じた。
価格は暴落中、取引量も歴代最低
韓国メディアによると、ソウルのマンション価格は9月第3週まで17週連続で下落が続き、2008年のリーマンショック以降で最大の暴落を記録している。取引量も歴代最低の落ち込みで、前年度対比では257%減、最悪だった2012年と比べても162%減ったという。
ソウルの場合、現在は周縁に位置した地域から価格下落が始まっているが、売買が凍りついた現状では急売が出れば一等地の高級マンション価格が一気に暴落する勢いだ。
ソウルの一等地「江南3区」の一軸である松坡区蚕室(ソンパグ・チャムシル)の代表的な高級マンションの実取引価格が1年で7億ウォンも暴落したとか、江南に近い人気地域である黒石洞(フクソクドン)のマンションの実取引価格が6億ウォン以上も急落したとかいうニュースが毎日紙面を飾り、韓国社会を緊張させている。
経済専門誌「韓国経済」が今年9月、不動産専門家106人を対象に行ったアンケート調査でも、今後住宅価格が10%以上下がるという展望が多数派だった。現在の住宅価格の下落が一時的な現象ではなく、下落相場の入り口である可能性が高いという分析も支配的だ。

可処分所得が減ったハウスプア家庭
流動性の急減によって住宅取引が凍りついた状態で、昨年までは2%台だった韓国の主要市中銀行の住宅ローン金利が年末までに最高8%に到達すると見られており、パニックバイイングでマイホームを手に入れた多くのヨンクル族が崖っぷちに立たされている。巨額の銀行貸出でやっとマイホームを手に入れた若年層が「ハウスプア」に転落する恐れが出てきたのだ。住宅を買うために巨額の負債を作り、その返済のために貧しく暮らす人々のことを「ハウスプア」という。
住宅ローンの返済が増えたことで可処分所得が減ったハウスプア家庭は当然、消費を最大限に抑制することになる。結果、商品は売れず、サービス業も停滞し、企業の業績悪化により労働者の収入が削減されるマイナス循環が生まれ、国家経済は沈滞に陥る。
もっと深刻なのは、マンション価格の暴落で負債に耐えられなくなったヨンクル族が、所有するマンションを放棄せざるをえなくなるケースだ。
銀行は不良債権を回収するために競売でマンションを処理しなければならないが、文在寅政権から続いている貸出規制で相当程度の現金なしには住宅を購入できないようになったため、ほとんどの市民は競売に応募さえできない状態だ。
競売で不良債権を回収できなくなれば、銀行の経営は急速に悪化するだろうし、最悪の場合、倒産の危険がある。そうなると、多くの建設会社や不動産会社の相次ぐ連鎖倒産を招き、韓国は不動産市場発の深刻な経済危機に直面することになる。

2022年の大統領選挙では、文在寅政権の不動産政策の失敗が国民の審判を受け、5年ぶりに保守政権が発足した。だが、2024年の総選挙では、尹錫悦(ユン・ソンヨル)政権の不動産政策が韓国国民の審判の対象になるだろう。
文在寅政権の5年間で膨らんだバブルが急激に萎みつつある韓国不動産市場を軟着陸に誘導することが、尹錫悦政権の急務になっている。
金 敬哲(ジャーナリスト)

おそろしいです