日本の信用力、小泉政権後は悪化続く−S&Pの小川氏
6月25日(ブルームバーグ):米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の小川隆平ディレクター(シンガポール在勤)は、同社が日本の格付けを現在の「AA」から引き下げるには十¥分ではないものの、日本の信用力は過去3年間に悪化したと述べた。
小川氏は23日、ブルームバーグ・ニュースの電話インタビューで語った。この中で同氏は「はっきり言って、状況はあまり勇気づけられるものではない」とし、今までのところの見通しを変えるほどではないとしながらも、「少しずつ良くない方向に動いているのは確か」と語った。
同氏は、小泉純一郎内閣が指導力を発揮した歳出削減と債務の削減は、小泉内閣以後に登場した3つの内閣の指導力不足や世論の低い支持率のために、痛みを伴う改革推進が困難になり失敗に終わったと指摘した。これに加えて、昨年秋以降の世界的な景気後退の結果、日本の経済成長や税収増が困難となり、債務負担の増加により財政の見通しが悪化したとしている。
小川氏は、こうした状況を勘案すると、「ここ1、2年、または2、3年になるかもしれないが、財政再建の方向性は出てきても、そんなに大規模なものにはなりにくい」との見方を示した。
小川氏は、「とりあえず、今までの段階では見通しが安定的ということで、現在の格付けが少なくとも1年ぐらいは続く可能¥性が高い」との見通しを示す一方、「いつでも格付けを変える機会はある。もし状況が大きく変化するなら、当社の見方も変わる」と述べた。
麻生太郎政権は今週、少子高齢化に伴って増大する社会保障費の自然増抑制を撤回した。また、2011年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するとの目標を放棄するに至った。
小川氏は、「麻生政権になってから改革疲れだ、という声が出ている。また麻生総理自身が基本的に小さな政府志向ではないのだろう」と指摘した。
経済協力開発機構¥(OECD)によると、来年の日本の債務残高は国内総生産(GDP)の197%に上昇する見込みだ。
政治面のリスク
小川氏は、「この段階で政府がやっていることは一時的な話と取らざるを得ない」と、日本の政治面でのリスクを指摘した。
同氏は、近く実施される衆院選挙の結果次第では、財政政策や社会保障などの政策が全く異なることになる可能¥性があることを挙げ、社会保障費の自然増抑制の撤回は「財政再建には後向きの動きだが、果たして半年後に続いていくのか。全く違う取り組みが出てくる可能¥性もある」と語った。
最近の長期金利の上昇については、「この程度であれば、1年にならせば政府の金利コストに大きな影響を及ぼすところまではまだいっていない」と説明。「10年物金利が2%超えて2.5%などになってくるとだんだん予¥算内ではやっていけない。現段階では、そこまで行きそうにないとみている」と述べた。