「おかずたくさん」の文化 危機? 料理使い回し韓国で厳罰化 不況の飲食店 続発相次ぎ 日本人観光客増も背景に
2009年07月05日 15:40 飲食店で客が残したおかずを他の客に再利用する「使い回し」に厳しく対処する韓国の改正食品衛生法が3日、施行された。韓国では食事にキムチやのりなど おかずが5種類ほど無料で付くのが普通。残ったものは捨てることが多いが、不況の影響で「リサイクル」する店が目立ち、消費者の苦情が相次いだ。衛生面に 特に敏感な日本人の観光客が円高景気で増えたことも背景にあるようだ。 (ソ¥ウル・小出浩樹)食に関する韓国での慣用句のひとつ−。
〈食卓の脚が曲がるほどごちそうがたくさん!〉
日ごろの昼食も例外ではない。ソ¥ウル市中心部にある人気定食店では、キムチチゲ(鍋)や豆腐チゲをメーンに、チヂミ、目玉焼き、みそなす、いりこ、ジャ ガイモの小鉢など計10種類(2人前)のおかずが日替わりで食卓を彩る。1人前は5000ウォン(約390円)で、ご飯と小鉢のお代わりは自由だ。
韓国の作法では、食べ残すのが「もう食べきれないほど」という謝意を表¥すとされる。残ったものは捨てられることになるが、手を付けられていないものを中心にした「使い回し疑惑」は以前から指摘されていた。
■4回なら閉店
改正法では、飲食店が使い回しで摘発された場合、1回目は営業停止15日間とする。それから1年以内なら2回目は同2カ月、3回目は同3カ月とし、4回目は営業許可取り消しと閉店処分のほか懲役か罰金刑となる。
保健福祉家族省によると、昨年使い回し情報が客からもたらされ、全国約9万店を検査した結果、少なくとも約4千店で行われていたことが判明。「再利用は 食中毒にもつながる。韓国料理を世界にPRし始めた最中、日本人をはじめ外国人にも食の安心・安全を訴えなければならないと判断し、法改正した」(食品政 策課)という。今後は従業員や利用客の告発に期待するという。
使い回しをしたことがあるという食堂経営者の女性は「おかずをたくさん盛れば客が呼べると思うから、結局多く残してしまい、経営上つらくて再利用せざる を得なくなる」と指摘。「改正法は正しい。衛生面からも客の信用が高まり、長い目で見ても経営安定につながる」と歓迎した。
■直ばし嫌悪も
利用者側は歓迎の声一色だ。
同店にいた主婦金景花(キムギョンファ)さん(31)は「おかずをたくさん出すこと自体に反対だった。日本のように少しずつ出して、足りなければ有料で 追加した方がいい。使い回しなどもってのほか」と政府の方針を支持。日本人観光客の女性(45)は「せっかくの韓流スターのイメージさえ、使い回し料理と 聞いただけで汚れてしまいそう」と話した。
韓国はもともと、取りばしを使わずに各自が鍋や皿を直接つつき合う「直(じか)ばし」で連帯意識を強める食文化。「再利用」への拒絶感は日本ほど強くなかったともいえるが、最近では直ばしを嫌う若者も増えている。
今回の改正法施行は、食文化の長所・短所について議論する機会につながるかもしれない。
=2009/07/05付 西日本新聞朝刊=